ヒョンデ、新型高級SUV「アイオニック9」でレンジローバーに対抗 過去最大のEVがデビュー
パワートレイン
アイオニック9には3種類のパワートレインが用意される。最高出力218psの後輪駆動のロングレンジモデルでは、WLTPサイクルの推定航続距離として最長620kmを謳っている。0-100km/h加速は9.4秒。 一方、ツインモーター車は合計出力312ps、航続距離515km、最上位モデルである「AWDパフォーマンス」は合計出力435ps、航続距離500kmとされる。0-100km/h加速はそれぞれ6.7秒、5.2秒で、最高速度は200km/hだ。 アイオニック5と同様に、アイオニック9には高性能の「N」バージョンの導入も予定されている。 全車、800Vと110.3kWh(使用可能容量)のバッテリーが搭載され、これはメルセデス・ベンツEQSやロールス・ロイス・スペクターをもしのぐサイズだ。最大350kWでの充電が可能だが、現在販売されている他のE-GMP車と同じく、ヒョンデは実際の最大出力は220~230kWに近いと示唆している。 アイオニック9は最大230VのV2L機能を備え、外部機器へ給電することもできる。ヒョンデは「EV顧客の一般的な懸念に対応する」ために、バッテリー性能の一貫性の向上、詳細なエネルギー使用情報の表示、ルートプランナー機能の強化など、さまざまな改良を加えたという。 また、低速でのトルクを向上させるためにリアのギア比を高くしたほか、効率を向上させるという2段階のパワーインバーターを採用した。
エクステリア
ヒョンデはアイオニック9を「エアロステティック・ラウンジ」と呼んでいるが、これはデザイン性、空力効率、インテリアの洗練性に焦点を当てていることを表す造語である。 同社が言うところの「チェスの駒」のようなデザインアプローチに則り、既存のアイオニックシリーズとは関係性を感じさせつつもしっかりと差別化を図っている。テールゲートを囲み、フロントエンドを包み込む「パラメトリック」なピクセルLEDが特徴の1つだが、法令の都合上、販売地域によっては光り方が異なる(例えば、英国ではフルワイドのヘッドライトが禁止されている)。 デザイン責任者のローズビー氏によれば、アイオニック9のシルエットは航空機の胴体に影響を受けており、「SUVとしては典型的なものではない」と述べた。一方で、切り立ったリアエンドや比較的フラットなルーフとウィンドウラインなど、従来型のステーションワゴンとの類似性も認めている。 このサイズのSUVとしては驚くべきことに、Cd値わずか0.259と、セダンにも匹敵する空力性能を誇る。丸みを帯びたフロントエンド、ミニマルな表面処理など、空気の流れを整えるさまざまな要因が挙げられるが、最大の特徴は、リアに向かって細くなっていく「ボートテール」型のリアエンドだ。 また、アンダートレイにデュアルモーションの可変エアフラップを備え(ヒョンデ初)、風を遮る新しいホイールデザインも採用した。 アイオニック9のボディサイズは、全長5060mm、全幅1980mm、全高1790mm。ホイールベースは3130mmとヒョンデ車の中で最長で、オーバーハングを最小限に抑え、Aピラーを可能な限り前方に配置することで広い室内空間を確保した。