10月に年金手取り額が変わる人とは?年金額が変わる理由4つを解説
日本の高齢化が進み、2022年時点での老齢年金の受給者数はおよそ4932万人という統計結果が出ています。 ◆年金の手取り額が変わる理由4つを一覧で見る このように多くの人の生活を支えている老齢年金ですが、10月はその年金の振込額が変更になる人が多くなるタイミングとなっています。 10月からの年金振込額が変わる可能性があるのは、主に「働きながら年金を受給している場合」や、「年金から住民税や健康保険料などが控除されている場合」です。 今回は、10月から年金振込額が変わる4つの要因を説明するとともに、具体的にどのような人が変更の可能性があるのかを解説していきます。 「自分は対象なのだろうか?」「どんな人が変わるんだろう?」と感じられた方は、ぜひ参考にしてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
年金とは
まずはじめに、今回説明する年金である、老齢となったことを理由として支給される「老齢年金」について、簡単に説明をしていきます。 ●年金受給の仕組み 老齢年金は原則として65歳になると受給できる年金で、受給を開始すると年6回に分けて偶数月の15日に支給されます。 受給開始月は、60歳から75歳の間で自身で選択することも可能です(その場合、受給開始年齢により年金額が一定の割合で減額・増額がされます)。 老齢年金の内容は、国民年金の支払い月数により決定する「老齢基礎年金」と、厚生年金に加入していた期間の月数と月額報酬により決定する「老齢厚生年金」の2種類です。 そのうち、今回説明する変更や調整の対象となるのは、「老齢厚生年金」となります。
年金の手取り額が変わるかもしれない4つの理由
それでは、なぜ10月のタイミングで年金振込額が変わる人がいるのか、その理由は主に下記の4つです。 ・在職老齢年金による調整金額の変更 ・在職定時改定制度 ・住民税・国民健康保険料・介護保険料等の本徴収開始 ・住民税の定額減税の開始 ●在職老齢年金による調整金額の変更 在職老齢年金とは、厚生年金に加入をする働き方をしながら年金を受給している場合に、給与と老齢厚生年金の合計額が一定の基準(2024年時点では50万円)を超えると年金受給額が減額される制度です。 在職老齢年金による調整は、その年の4月から6月の3ヶ月間の給与をもとに決定される標準報酬月額に基づいて毎年9月に見直されます。 そのため、前年と比べて給与収入が増減した場合、10月の年金から在職老齢年金による調整が変更となり、結果として年金受給額が変更されます。 ●在職定時改定制度 在職定時改定とは、厚生年金に加入する働き方をしながら老齢厚生年金を受給する65歳以上70歳未満の人について、10月分の年金額から見直しがされる制度です。 年金額に反映されていない前年9月から当年8月までの厚生年金に加入していた期間分を加算して、年金額の再計算が行われます。 これは2022年から導入された制度で、従来は年金受給開始後、厚生年金を喪失するまでは年金額の変更はされていませんでしたが、この制度により厚生年金の加入中に年金の受給額に反映されるようになりました。 ただし10月分の年金を受給するのは12月です。改定後の年金受け取りは先になる点に注意してください。 ●住民税・国民健康保険料・介護保険料の本徴収開始 年金の受給額が一定以上である人は、住民税・国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)・介護保険料が年金から控除されて振り込まれます。これを特別徴収と呼びます。 特別徴収される金額は、居住する市区町村により前年の所得に応じて決定されるものです。 4月から開始される1年周期で徴収されるスケジュールですが、そのうち4月分から9月分は前年所得の確定ができていないため「仮徴収」、10月以降分に確定所得から算出された「本徴収」が行われます。 そのため、10月からの特別徴収額が変更された場合、年金額の振込額も変更となります。 ●住民税の定額減税の開始 本年2024年は、政府の経済政策として定額減税制度が実施され、所得税と住民税の軽減がされています。年金受給者においては、所得税の定額減税が6月から、住民税の定額減税が10月から開始されます。 そのため、10月で特別徴収により控除される住民税額が変更される人も多く、その場合に年金の振込額も変更となります。