サブスク別荘「SANU 2nd Home」が鹿の目線で設計した新型キャビンに泊まってみた!
2024年8月、軽井沢に「SANU 2nd Home」が開業した。メンバーシップ制の別荘の居心地はかくも快適であった。その魅力に迫る。 【写真を見る】サブスク別荘の中を見る!
別荘の新しい在り方
「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」(以下、「SANU」)をご存じだろうか。「自然の中にあるもう一つの家」をコンセプトに、月間¥55,000(1カ月7泊まで)で、都市生活と自然体験を融合させる新たなライフスタイルを提案するメンバーシップ制セカンドホーム──、つまりサブスク別荘だ。 「別荘は富裕層のもの」というイメージを軽やかに覆してくれるSANUは、2021年11月にサービスを開始し、破竹の勢いで拠点を増やしている。2024年8月時点で、都市部から2~3時間圏内の自然豊かな場所を中心に21拠点116室を運営。今年末には北は北海道ニセコから南は奄美大島まで、30拠点200室へとさらに拡大する見込みだ。 「SANU 2nd Home 北軽井沢2nd」のキャビン。国産材を100%使用、さらには伐採期を迎えた50~60年の樹木を中心に活用するなど、木材の調達までこだわる。結果として、一般的な木造建築は8~14%とされる、キャビンの木質化率は39%まで拡大した。 また、今年、8月には、環境配慮型建築を専門とするADXとのコラボレーションにより、画期的な新型キャビン「SANU CABIN MOSS(モス)」(以下、「MOSS」)の第1弾として、北軽井沢に「SANU 2nd Home 北軽井沢2nd」(以下、「北軽井沢2nd」をオープンした。 北軽井沢は、軽井沢の中心地からクルマで30分ほどの自然あふれる場所だ。浅間山北麓、標高1,100mの浅間高原に位置し、私たちが知っている軽井沢とはだいぶ違う様相だが、同地は別荘地として人気のエリア。近年、さまざまな宿泊施設が誕生しており、2025年初夏には、「ANAホリデイ・インリゾート軽井沢」の開業も控えている。公共の交通機関で行くには、なかなかハードルの高いが、「SANU 2nd Home」では、多くの拠点で、近場のターミナル駅から、お得な会員専用カーシェアサービスを提供しており、自家用車がなくても安心して利用できる。 秘密基地風のウッドキャビン「MOSS」(全14室)は、天然林で構成される、苔むす森の中に建ち並んでいた。森には鹿やイノシシも生息しているそうだ。 「MOSS」の最大の特徴は、自然との共生を追求した設計である。木の実をモチーフにした独特の多面体構造は、鹿の視点を取り入れたもの。鹿──、そうあの森にいる鹿である。森の景観に自然に溶け込むように作られていて、高床式建築を採用することで、地面への直接的な影響を最小限に抑えた。ぽかんと浮いているヴィラは、そのルックスもなんともかわいらしい。 環境への配慮は建材選びにも表れていた。国内の林業活性化に貢献するため、成長を終えた50~60年生の国産木材を100%使用。さらに化石燃料を一切使用せず、太陽光発電などの再生可能エネルギーのみで運営されていて、環境負荷の低減にも貢献している。 チェックイン&アウトはすべて専用アプリで行うことができるのもイマドキだ。チェックイン時間の少し前に届く暗証番号でキャビンの施錠ができ、誰にも接触することなく部屋に入ることができる流れも「別荘ムード」を盛り上げる。 今回、筆者が宿泊したキャビン「SANU CABIN MOSS WITH SAUNA」は、室内48平方米+テラス6平方米。これにプライベートサウナが付く。そして、ホテルではなく、あくまでもここはセカンドホームだ。3口のIHヒーターに加え、オーブンレンジや冷蔵庫、炊飯器、オーブントースター、電気ケトル、ワインセラーなどを揃える。つまり、すぐにでも“生活”をスタートできる状態だ。食器や調理用品、調味料も一通りそろっている。 「摘んだ花を生けて飾ってみては?」という提案なのだろう、小さな花瓶も置かれている。冬は摂氏マイナス10度以下になるというが、入り口付近には、CO2削減効果の高い燃料として注目を集めているペレットのストーブが設置されていて快適に過ごせそうだ。 自然との一体感を重視しながら、快適な滞在を実現する設計も「MOSS」の魅力だ。リビングとバルコニーが一体となった開放的な空間からは、大きな窓を通して豊かな自然を望める。森を通して差し込む光で目覚めたいので、ブラインドはあえて下げずに就寝した。天窓からも柔らかな光が降り注ぎ、自然の中に身を置いていることを実感できる。 特筆したいのはサウナだ。「あれば使うけれど、とりたてて好きでもない」という、サウナ熱がそれほど高くない私だが、ここはシチュエーションが最高だ。雫型の窓の外には森が広がり、水風呂にえいやと浸かった後は、チェアで外気浴ができる。その日、何度目かのサウナから出た後、ふと空を見上げると、満点の星が瞬いていた。我慢しきれず、いや、我慢する必要もないのだが、冷蔵庫から買っておいたビールをいそいそと取り出した。頭が空っぽにして、漆黒の森と一体化する──、そんな時間の過ごし方、長く忘れていた。 最後に気になるサブスクのシステムだが、会費を払えば、平日はほぼ無料(土・祝前日・祝日やサウナ付きの部屋は追加料金が必要)。1回の滞在につき最大4日まで連泊でき、宿泊後に次の予約が取れるようになる。手の届く価格もさることながら、「管理する」という面倒な作業抜きで、大自然のなかで、「特別な目的がなくてもゆったり過ごす」という、別荘ライフを送ることができるのがうれしい。 ファミリーで週末を過ごすのもいいし、自然のなかにあるホームオフィスとして、ワーケーションに利用するのも悪くない。愛犬と泊まれるキャビン(追加料金要)もあり、ベッドで一緒に眠ることもできるそうだ。愛犬と一緒に過ごせる宿泊施設は増えているが、ベッドにあげていいところはあまりない。また、大型犬もOKというのも貴重だ。私も、今度は愛犬を連れて泊まってみようと考えている。 「MOSS」は北軽井沢を皮切りに、新たに白馬(長野県)や南アルプス(山梨県)などの計5拠点に展開。来年にかけては、ニセコ(北海道)や蓼科(長野県)の他、日本中の豊かな山岳地帯に続々拠点を設けていく。 ■SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)北軽井沢2nd 住:群馬県吾妻郡嬬恋村 https://2ndhome.sa-nu.com/facility/sanucabinmoss ■SANU 2nd Home 料金/サブスクリプション会費 月額¥55,000 ・上記の月会費に加え、利用ごとに宿泊費がかかる場合あり ・1ヶ月の滞在は7泊まで ・1室につき4名まで宿泊が可能 ・1滞在当たり清掃料金が¥3,300要 http://2ndhome.sa-nu.com/
文・長谷川あや 編集・岩田桂視(GQ)