「今年こそ 妻の思いを 取り戻す」この一句に込めた思い 広島を行き交う人たちに「5・7・5」を詠んでもらいました 2025年の願いは?
2025年が始まった。「カープ優勝」「旅行に行きたい」「志望校合格」「平和な世界」…。新たな年への思い、願いは人の数だけある。広島市内で行き交う人の胸の内に耳を傾け、「5・7・5」を詠んでもらった。すると伝わってくる。「あふれ出た 心のさけび 真っすぐに」 【写真】「エビフライ 衣増やさず 客増やす」 「5・7・5」に込めた思い 昨季は終盤に失速したカープ、サンフレッチェの優勝を願う句は多い。「3連覇の時のように真っ赤な街が見たい」とカープファンの西区の会社員三島一晃さん(57)。鍵は打撃とみる。長距離砲 誠也の次は 佐々木泰 ベテランを押しのけ、ドラフト1位ルーキーのここぞの一打を期待した。 受験合格や部活動躍進、早起き、ダイエットなど個人目標を題材にした句は多彩。西区の安田尚子さん(86)はことし、20代の時以来のピアノに挑戦するつもりだ。ぼけ防止 エリーゼのために ピアノ弾く 「昨年は体調を崩して、家族に心配をかけた。身体と頭を鍛えたい」と話す。 新型コロナウイルス禍は落ち着きを見せたものの24年は「物価高」が席巻した。「売り上げはまだ8割程度しか戻っていない。2次会に行かない習慣がまだあるのかな」と府中町の飲食店経営、加島和宜さん(60)。売り上げを コロナ禍以前に 持ち上げる 誰もが友人や家族と楽しく飲食できる年を望む。 鈍感な あなたと今年は 距離詰めたい 中区の大学3年の女性(20)は片思いの相手を思って詠んだ。いにしえの時代から和歌や川柳、歌詞には最愛の人への思いがこもる。福山市の飲食店店主佐藤友彦さん(47)は「若い頃のように愛されたい」と気持ちが高ぶる。今年こそ 妻の思いを 取り戻す ライバルは妻に懐き、自分にはほえる愛犬だという。 広島は8月6日、原爆投下から80年を迎える。日本被団協のノーベル平和賞受賞もあり、観光客は増えているという。「何が起きたかを知ってもらい、平和の尊さを感じてほしいからね」。中区の小谷佳さん(83)は平和記念公園(中区)で詠んだ。いつまでも 平和の思いが 続くよう 今春、大学に進む府中町の高校3年黒谷晴人さん(18)はインフルエンザを患った24年を踏まえて誓う。ウイルスに 負けないような 免疫を 「元気に過ごしたい。一句考えて目標が定まった」。思いの丈が乗った軽やかなリズムは、聞き心地がいい。
中国新聞社