「不動産(土地建物)」の相続人を生前に決めておきたい! 正式な手続きとは?
相続は、亡くなった人(被相続人)が所有していた資産を親族(相続人)などが承継する制度です。 では、その生前に自分の意思を相続に反映させる方法はないのでしょうか? この記事では、その方法の1つである遺言書について解説します。
遺言書とは被相続人の意思を反映させたもの
遺産分割には、法律で決められた法定相続分に沿って決める方法や、相続人同士が相談して決める「遺産分割協議」を行う方法があります。それらは資産配分について、被相続人の意思が確認できない場合にとられる方法です。 一方で、自分が亡くなったときに、残した資産について「誰に・何を・どのくらい」相続したいか、その考えを資産配分に反映させるために書面に残したものが「遺言書」です。 遺言書を準備することによって、生前に自分の意思を相続へ反映させることができます。被相続人の遺言書がある場合の相続では、原則、被相続人の考えを尊重するために遺産分割協議などは行わず、遺言書に沿って資産配分を進めることになります。 遺言書を残すことによって、例えば「不動産(土地建物)」といった特定の資産を特定の人に相続させる、などのことも可能となります。また遺言書には、親族など法定相続人以外の人も受遺者として指定することもできます。 ◆遺言書を残した方がよいケース 遺言書は必ずしも残す必要はありません。例えば法定相続人がいて、かつ「資産配分は相続人同士で決めてくれればよい」と思っている場合は必要ないでしょう。しかし、次のようなケースでは、遺言書を用意することを検討した方がよいでしょう。 ・資産の配分について自分の考えを反映させたいとき ・残された家族や親族間で相続争いなどのトラブルが生じることが考えられるとき ・法定相続人以外にも資産を残したい人がいるとき ・法定相続人がいないとき 法定相続人や特別縁故者がいない人の場合、遺言書がないと、残された資産は全て国庫に帰属することになります。そのため、そのような人が資産を誰かに残したいのであれば、遺言書は必須になります。 なお、特別縁故者とは被相続人と特別親しい関係(被相続人と生計を同じくしていた、被相続人の療養看護に努めていたなど)にあったことを理由に、法定相続人がいないときに家庭裁判所によって「相当の関係がある」と認められた場合に、遺産の全額または一部を取得できる人のことです。 特別縁故者と認められるためには、「相続財産清算人選任の申し立て」や、相続人がいないことが確定した後で行う「特別縁故者に対する相続財産分与の申立て」などの手続きを、特別縁故者が自ら進めていく必要があります。