「不動産(土地建物)」の相続人を生前に決めておきたい! 正式な手続きとは?
遺言書を残す流れ
遺言書には書き方などのルールがあり、ルールが守られていない遺言書は無効となることに注意が必要です。遺言書作成の手順として、例えば次のような流れが挙げられます。 1.相続人と法定相続分の相続割合、遺留分割合※1を確認する 2.資産や負債を把握してリストアップする(財産目録の作成) 3.誰に何をどのくらい相続するのかを決める 4.遺言内容や遺言執行者※2を決める(遺言執行者の選任は任意) 5.普通方式で3種類のある遺言書「のうち、どの遺言にするのかを決めて遺言を書く ※1:民法で定められた、遺言に優先して相続人のために残しておくべき最小限度の財産の割合のこと ※2:遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人 遺言書には3つの種類があります。それぞれに異なる手続き方法やメリット・デメリットがあります。 ◆自筆証書遺言 自筆証書遺言は遺言者が自筆で作成する遺言書です。本文や氏名、日付を全て自筆し、押印(認印可)する必要があります。 ただし、添付する財産目録についてはパソコンでの作成や不動産(土地建物)の登記事項証明書・通帳のコピー等の資料を添付する方法が認められています。他の遺言と異なり、証人は不要です。
自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での検認が必要なことに注意しましょう。検認は、遺言書が所定のルールにのっとって作成されているかを確認する手続きです。また、検認前に遺言書を開封した場合などには法律上過料(5万円以下の過料など)があることにも注意しましょう。 ただし、検認前に開封しても遺言書が無効になることはありません。なお、2020年7月より「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。この制度は、自筆で作成した遺言書を法務局(制度が利用できる法務局を「遺言書保管所」といいます)で保管してもらえるものです。 この制度を利用することにより、紛失のリスクをなくすことができる、検認の手続きが不要になる、などといったメリットがあります。また、遺言者があらかじめ希望した場合には、遺言者が亡くなったときに、あらかじめ指定された人へ、遺言書が法務局に保管されていることを通知してもらうこともできます。 保管時には、民法が定める自筆証書遺言の形式に適合しているか、法務局職員による確認が受けられますので、無効な遺言書となるリスクも軽減できます。ただし、この確認は遺言書の有効性を保証するものではないことに注意が必要です。なお、制度を利用する際は、3900円分の遺言書保管手数料がかかります。 ◆公正証書遺言 公正証書遺言は、公証役場において2人以上の証人の立ち会いのもと、遺言者が口述した遺言を公証人が筆記して、遺言書を作成します。遺言者と証人が作成された遺言書を確認した後、各自が署名押印します。