名作「イン・ザ・ハイツ」へ意欲、松下優也「音楽フェスのようなノリで、巻き込める作品」
当時ミュージカル界ではめずらしかった、ラップやヒップホップを全面に出した楽曲で注目され、映画化もされたミュージカル『イン・ザ・ハイツ』。日本ではラッパーのKREVAが日本語歌詞を担当し、過去2回上演されるほどの人気となっている。Def TechのMicroとWキャストで主演を続投する平間壮一と、初演以来の出演となる松下優也の会見が、大阪市内でおこなわれた。 【写真】会見中、意気込む松下優也 本作は、21世紀のミュージカルを変えたとも言われる才人、リン=マニュエル・ミランダの処女作にして、2008年にトニー賞最優秀作品賞を受賞した名作。移民が多く暮らすマンハッタンのある町を舞台に、ドミニカ系移民のウスナビ(平間)、雇い主の娘との恋に悩むベニー(松下)などの人々が、日常レベルのいさかいや挫折などを経験しながら「自分の居場所」を探し出すという物語だ。 2021年の再演からウスナビを演じる平間は、「登場人物たちは『本当はこれをやりたいのに』とか『本当の自分はこうなんだけど・・・』ということを、なかなか言えない人が多い。それは僕にも経験があるし、多くの人に突き刺さるんじゃないかと思います」と、国境を超えて共感を得やすいとも断言。 松下は、10年ぶりに演じるベニーを「夢や野望を結構強く持っている、ポジティブで明るい奴」と分析し、内容については「この物語に出てる人たちは、自分のホームはどこか? ということを、すごく意識的に自覚している。日本の人たちは、多分意識をしていないところで居場所を求めているので、彼らに気付かされることはめちゃくちゃ多いと思います」と、やはり誰にも刺さるメッセージがあると語った。 ラップやサルサなど、通常のミュージカルではなかなか使われない音楽が多用された作品だが、実際に楽譜も特殊だそう。平間は「音符が全部『✕』の部分があって、それは『音(が指定されて)ないよ、どう歌う?』という感じ(笑)。でも特別難しいということはないかな」と明かす。 続けて松下も、「難解な音楽ではないけど、ループが積み重なっていく感じは、古典的なミュージカルには多分ない。意外と音楽のライブやフェスのようなノリがある、お客さんも巻き込める作品だと思うので、普段ライブに行く人には、ちょっと見てもらいたいです」と呼びかけた。 ほかにはsara、豊原江理佳、田中利花などが出演。演出・振付は、安室奈美恵やAKB48などの振付で知られるTETSUHARUが担当する。9月の東京公演を経て、関西公演は10月12日・13日に「京都劇場」(京都市下京区)にて。チケットは1万3500円で、9月8日から発売開始。平間は12日夜の回と、13日昼の回に出演する。関西のあとは、愛知でも公演あり。 取材・文・写真/吉永美和子