どうやって「LOTR」の世界観をアニメーションで作り上げたのか? WETAが全面協力し、シリーズ細部を忠実に継承
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ初となる長編アニメーション映画「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」が、12月27日から公開される。「ロード・オブ・ザ・リング」3部作に繋がる200年前の物語が描かれる本作は、全編手描きのアニメーションでありながらもシリーズの世界観を忠実に再現。この壮大なプロジェクトを支えたのが、世界的に有名なVFXプロダクションのスタジオ「WETAデジタル(以下WETA)」の“全面協力”だった。 WETAは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズを手掛け、当時の最先端CG技術を駆使し、シリーズ3作すべてアカデミー視覚効果賞を受賞した経歴を持つ名門スタジオだ。 本作のメガホンをとった神山健治監督(「東のエデン」「攻殻機動隊S.A.C.」「精霊の守人」)は、本作の脚本の作り込みが進むにつれて「これは(シリーズの)世界観を共有したほうが映画との繋がりも出る。『ロード・オブ・ザ・リング』の壮大な設定を活かさない手はないんじゃないかということになり、全面的にWETAに協力を仰ぐことになりました」と世界的なスタジオが“全面協力”となった経緯を明かす。 その結果、「ローハンの設定、鎧や馬具という小物に至るまで資料を貸してもらい、そこも共有して行こうということになりました」と、ローハンを舞台に描かれる最新作には欠かせない、膨大な資料を基に制作を進めることとなった点も説明する。 200年前、まだ活気づいているローハンの街並みや、この王国の強みである騎馬なども登場し、後の実写『ロード・オブ・ザ・リング』3部作に通ずる部分が多数存在する本作。「年代的には200年前の時代になるので続編ではないけれど、3部作の系統といってもいいと思います」と本件については神山健治監督自身もつながりがある旨を断言している。 また、ローハンの鎧や馬具といった小物など含め、作画のクオリティを維持するために、制作過程ではモーションキャプチャーとCGを組み合わせ、全シーンそれをベースに手描きアニメーションを作り上げるという革新的な手法で行われた。 クライマックスの舞台である角笛城もCGで城全体を制作し、それを基にカメラ位置を決定するなど、実写映画のような工程も踏んでいる。そのため、シリーズファンにはたまらない、「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」(03)を彷彿させるような構図のカットなども登場し、その魅力を存分に楽しむことができる。 11月29日からは「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」スペシャル・エクステンデッド・エディションの4DX上映がスタートしているので、本作の予習をかねて鑑賞がおすすめだ。 「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」は12月27日全国公開(吹き替え・字幕版を同時公開。一部劇場をのぞく)。通常版のほか、ラージフォーマットのドルビーシネマ、4D、IMAXでも上映される。 なお、11月29日から12月5日までは「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」スペシャル・エクステンデッド・エディション、12月6日から12月12日までは「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」スペシャル・エクステンデッド・エディションが上映される。 【「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」ストーリー】 偉大な王ヘルムに護られ、騎士の国ローハンの人々は平和に暮らしていた。だが、突然の攻撃を受け、美しい国が崩壊していく…。王国滅亡の危機に立ち向かう、ヘルム王の娘である若き王女へラ。最大の敵となるのは、かつてヘラと共に育ち、彼女に想いを寄せていた幼馴染のウルフだった。大鷲が空を舞い、ムーマクは暴走、オークが現れ、金色の指輪を集める"何者"かが暗躍し、白のサルマンが登場。果たしてヘラは、誇り高き騎士の国と民の未来を救えるのか。