人生3台目の2代目ロードスターと、ヤフオク7万円のエグザンティア エンジン編集部員のちょっと古い愛車を公開! 情熱があればなんとかなる!!
エンジン編集部員のちょっと古いクルマの愛し方!
エンジン編集部のパーキングには、いつもちょっと古いクルマが駐まっています。エンジン・ウェブで長期リポートをしているシトロエン・エグザンティア以外にも、なかなか面白そうなクルマがいるんです。そこで今回、編集部の4人の4台の愛車、ポルシェ・ケイマン(2010)、フィアット・ムルティプラ、マツダ・ロードスター(NB)、シトロエン・エグザンティアを一堂に集めてみることに。あれ、でも1台姿がないような……。ケイマン&ムルティプラ篇に続いて、今回はNBロードスター&エグザンティア篇をお送りする。 【写真38枚】人生3台目の2代目ロードスターと、ヤフオク7万円のエグザンティア エンジン編集部員のちょっと古い愛車の詳しい写真はこちら ◆ダイレクトさが足りない 村山 僕のロードスター、これ、人生3台目の2代目ロードスターなんですが。 上田 ひとのことは言えないけど、3台はハマり過ぎだよ(笑)。 大手 村山さんのところも、かなりご家族の影響が大きいのでは。 上田 ご実家はいわゆる124って呼ばれる、古いメルセデス・ベンツを何台も乗り継いでいたんでしょ。 村山 都合5台ありました(笑)。 上田 こっちも純粋培養だ。 塩澤 ロードスタは2代目のいわゆるNBね、技術や法規制にどんな関係があるの? 村山 実は兄が3代目のNCも乗っていたので、家には都合4台ロードスターがあったんです。NBはワイヤーを使った機械式のスロットル。対してNCはスロットルが電子制御になって、ボディも分厚く立派になりました。NCに乗って一番がっかりしたのは乗用車ライクになったスロットル・レスポンスでした……。 上田 車両重量やコンセプトにこだわり続けるロードスターでも、そうした見逃せない変化があったと。特にダイレクトさは、ちょっと古い方でないと得られないということか。 村山 実は18歳で人生最初に買ったのも2代目ロードスターで、手放す時は、もうこれでだいたいこのクルマはマスターした、と思ったんです。でもまったくもってそうじゃなかったし、未練も残っていた。そこで15万円で2台目を買ったらボロボロで。室内も荷室も水浸しだった。 塩澤 きたきたきたぁ!(笑) 村山 けっこうお金をつぎ込んで直したんですが、結局手放して。その後はエンジン編集部にアルバイトに入ってKINTOでGR86を友人と共同所有したり、ゴルフVのGTIに乗っていたんですが、2年前にメディア対抗ロードスター4時間耐久レースにお手伝いに行って、覚醒しちゃいました。 上田 エンジン編集部のせいだ。 塩澤 でも3台目のNBを買って、いろんなことが重なって、翌年の4耐に出て、しかもいきなり優勝! 村山 あらためてクルマの軽さとはこういうことかと実感しました。パワーがないから、ただ速いクルマを走らせるよりずっと難しい。今の仕事はそれこそフェラーリからロールス・ロイスから911GT3RSまで色々なクルマに乗りますが、これほど自分自身の運転をフィードバックしてくれるクルマはないんです。 上田 スポーツ走行用の装備一式含めコミコミで140万円だっけ? 塩澤 この値段でそんなことができるクルマはもうほかにないからね。 大手 クルマが高いとおもいっきり走れないですしね。 村山 とりあえず今はエンジンはつるしの状態で、腕を磨いて、これ以上もうどうにも伸びないな、というところまで行ったらイジろうかと。 上田 うーん、求道者みたいだ。 塩澤 そんなこと言っている上田くんもそうとうなハマり具合だよね。 ◆黄金時代の産物 村山 エグザンティア、車検と整備で来られなかったんですよね(笑)。 大手 憧れです。7万円のクルマに200万円もつぎ込むなんて……。 上田 詳細は本誌ウェブで(笑)。人様には薦めないよ。でも、ケイマンもムルティプラもそれなりに車両代は払っているよね。僕は安く買い、その分新車に近づけるように部品と整備につぎ込んでいるだけ。それでもまだ合計240万円弱だから当時の新車価格にはぜんぜん届かない。 塩澤 でも、なんでまたエグザンティアなの? 4台目なんでしょ? 上田 1つは塩澤さんと同じで格好いいこと。でももう1台、真っ黄色の初代エリーゼも持っているし、普段から派手なのはちょっと……。たぶん僕はクルマの見た目をひけらかすというのかな、そういうのが好きじゃない。でも形は、先日お亡くなりになってしまったガンディーニさんのウェッジシェイプなクルマが好物で。実際フィアットX1/9とかルノー5にも乗っていました。BXもすごく欲しいしXMにも乗りたい。そこで一見目立たずとも、実は自分だけが知っている格好いいクルマ、ということでエグザンティア。 大手 うわー、オタク度が高い! 上田 車内は広く、車高を上げれば悪路も雪道もいける。CG初代編集長の小林彰太郎さんがエグザンティアをリポートされていた当時「春夏秋冬・老若男女・冠婚葬祭・裏表」というタイトルを付けていましたが、この言葉通りの万能なクルマです。あとは村山君と同じで、当時の技術だからできたこと、っていう面もある。ハイドローリック・システムをシトロエンはやめてしまったけれど、なんで今のクルマはこの乗り心地が出せないのかって、いつも思う。 塩澤 いわばロスト・テクノロジー。 上田 2000年頃の欧州車たちはデザインも技術も各国の個性がすごく出ていて、しかもエアコンやパワステなどの快適性も備えていた。いわば黄金時代の産物か、はたまた1つの到達点だったのではないかと。 塩澤 あとは直せることだよね。ノウハウは必要だし、部品はなかなか手に入らなくて苦労するけれど。 上田 これ以上世代が新しいと、複雑すぎて本当に直せない。ポルシェやフェラーリみたいな特別なモデルはメーカー自らもビジネスにしているし、やればできるかもしれないけど、お金はとんでもなくかかる。 塩澤 ムルティプラやエグザンティアあたりは、まだ情熱があればなんとかなる。もちろん、ある程度のお金はかかるけれど。そのクルマのことを大事に思う仲間や、一緒に直してくれる人を探したりするのも楽しみの1つにしちゃえばいいんだと最近気がついた。どうもムルティプラ、イタリアにはまだまだ部品はあるらしく、為替や輸送コストを考えると、最近はいっそ遊びに行きつつ買いに行こうか? って主治医とはよく話してる(笑)。 上田 僕もポーランドとフランスに行ってネットワークがすごく広がりました。お互い好きなクルマのことだと、言葉の壁が越えられる(笑)。 大手 147の部品、欲しいものがいっぱいあるんですよ。行く時は、一緒に連れて行って下さい! 話す人=塩澤則浩+上田純一郎(まとめも)+村山雄哉+大手淳寛(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦(ケイマン、ムルティプラ、ロードスター)/岡村智明(エグザンティア) (ENGINE2024年5月号)
ENGINE編集部
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