太陽光発電、中国地方での導入鈍化 この3年間の増加率1桁台 適地の少なさなど響く
中国地方で太陽光発電の導入ペースが鈍っている。中国電力ネットワーク(広島市中区、中電NW)によると、管内で送配電網に接続済みの出力は6月末で703万キロワットと700万キロワットの大台を超えたものの、前年同期に比べ4・9%増。年度末ベースの増加率はこの3年間、1桁台が続く。発電事業者は適地の少なさなど、さまざまな要因を挙げる。 太陽光発電の出力は、2012年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まった後、買い取り価格の高さもあって2桁台で伸びてきた。中電NW管内では、12年度末の56万キロワットが1年後に118万キロワットと2・1倍に急増。その後も7年続けて2桁の増加が続いた。 一方、21~23年度末の伸び率は9・2~4・8%で推移。買い取り価格が下落し、事業者の開発意欲が下がった可能性もある。送配電網への接続契約の申し込みは23年度末で271万キロワットと、脱炭素の発電事業に対する一定のニーズもうかがえる。 広島県内の太陽光発電事業者の役員は「開発できそうな場所は、やり尽くしつつある。工場など屋根への設置は需要はあるが、パネルの価格が高いので様子見という雰囲気もある」と明かす。 適地の減少は、国が5月に開いた有識者会議でも指摘された。国は住宅やビルの屋根への設置、薄くて軽く、折り曲げられるペロブスカイト型の太陽電池の普及などの取り組みを挙げている。 ペロブスカイト型が普及すれば、ビルの壁面や、耐荷重のために設置できなかった屋根への設置が可能になるが、この役員は「実用化までもう少しかかる」と見据える。
中国新聞社