「ブルボン」と「ユーハイム」の原点は、関東大震災だった 「甘いお菓子が人々を笑顔に」 受け継がれる理念「災害時に役立つ企業」 #災害に備える
今から100年前、1923年9月1日に起きた関東大震災は、人気菓子メーカーのユーハイムとブルボンにとって、原点と言える災害だ。 ユーハイムは横浜市で被災した創業者のドイツ人が神戸市に移住。洋菓子の街・神戸の先駆けになった。新潟県柏崎市のブルボンは、震災によって首都圏からの菓子の供給が滞り、地方に届けるためビスケットの量産を始めた。「甘いお菓子は人々を笑顔にする」。共通する理念を持つ2社は、その後のさまざまな災害も乗り越え、被災地の支援を続けている。(共同通信=小林清美) ※この記事は、記者が音声でも解説しています。共同通信Podcast #40【きくリポ】を各種ポッドキャストアプリで検索いただくか、以下のリンクからお聞きください。 https://omny.fm/shows/news-2/40-100 ▽日本初のバウムクーヘン ユーハイムを創業した故カール・ユーハイムはドイツ出身の菓子職人だった。中国・青島で菓子店を営んでいたが、第1次世界大戦の捕虜として1915年、日本に連れてこられた。
広島県の似島にあった収容所でお菓子作りを再開。広島県物産陳列館(現在の原爆ドーム)の展示会で日本初となるバウムクーヘンを焼き、好評を博した。 第一次大戦が終わると、釈放され横浜市の繁華街で1922年に洋菓子店を開業。非常に繁盛していたが、関東大震災で店が燃えてしまう。カールと家族は、知人を頼って命からがら神戸に移り住み、店を再興した。日本人向けの洋菓子が人気となり、現在も続いている。 現在の河本英雄社長によると、カールは「お菓子を通して人々を幸せにしたいという思いがあった。2度の大戦と震災に遭っても、お菓子づくりをやめなかった」 1995年の阪神大震災では水やガスの供給が止まり、神戸工場が一時生産不能に。それでも、拠点をほかの工場に移してしのいだ。 創業者の思いは、現在も受け継がれている。バウムクーヘンの基本的なレシピは創業以来変わっていない。食品添加物を使わず、職人の技術で焼き上げるという。