ザックジャパン “スーパーサブ”に滑り込むのは誰だ?
2008年にU‐19代表に選出されたのを最後に、川又は日の丸と縁がなかった。候補とはいえ、A代表の雰囲気を味わったのも今回が初めてとなる。緊張と興奮が交錯したはずの3日間を、しかし、成長途上の24歳のストライカーは「楽しかった」と振り返っている。 「いろいろと勉強になった。みんな上手いし、いつもだったらボールが出てこないタイミングでも、自分を見てくれている。すごく刺激になった。もっと、もっとサッカーが上手くなりたいと思った。こういう場所にまた来られるように頑張りたい。そのためにはチームで結果を残さないと話にならないので、そこはシビアにとらえないと」 川又のファインゴールの感想を求められたザッケローニ監督は「個人に言及したら、他の22人にも触れないといけない」とはぐらかしたが、最後にこう言い残すことも忘れなかった。 「できる限り、ぎりぎりまで悩みたい」 ブラジルの地に臨む日本代表23人が発表される5月12日まで、残り1か月とちょっと。その間に行われるJ1の8試合で確固たる結果を残し、心身のコンディションがW杯仕様になっていることを証明できるか。すべては、その点にかかってくる。 帰りのバスに乗り込む間際。アルビレックスでは不動のエースを務める川又に、90分間ではなく、途中出場でも結果を残す自信はあるのかと聞いた。 「(スーパーサブが)得意かどうかは分からないけど、いつもゴールは狙っています」 髪を短く刈り上げ、あごひげをたくわえたワイルドなマスクに、ようやく笑みが浮かんだ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)