ザックジャパン “スーパーサブ”に滑り込むのは誰だ?
ブラジル行きの切符を手にできるのは23人。ザッケローニ監督が「4年間やってきてベースになるグループがある」と明言するように、特にフィールドプレーヤーの20人のうち17人から18人はすでに確定していると言ってもいいだろう。 残りわずかとなった枠に割り込むために必要なのは、すぐにチームに馴染める順応性を示した上で、複数のポジションをこなせるユーティリティーぶりか、あるいは攻守のどちらかで突出した「個」をアピールするしかない。 右サイドバックの内田篤人(シャルケ)、センターバックの吉田麻也(サウサンプトン)が故障離脱している状況において、その両方でプレーできるポリバレント(多様性)を示した鈴木と塩谷の存在感は今合宿で大きく増した。 左サイドから相手の最終ラインの裏へ抜け出せる選手を必要とするザッケローニ構想の中で、前半にプレーした齋藤学(横浜F・マリノス)と後半に出場した原口元気(浦和レッズ)、35分に2点目をあげた南野拓実(セレッソ大阪)の争いは今後も激しさを増していくだろう。 そして、勝ち点が欲しい場面で相手ゴールをこじ開けられる力を秘めたスーパーサブとして白羽の矢を立てられたのが、生粋のゴールハンターである豊田陽平(サガン鳥栖)と川又となる。 ザックジャパンで4試合に出場したアドバンテージを持つ豊田は前半のピッチに立ったものの、17分に放たシュートが相手GKの真正面を突くなど、FWにとっての絶対的な指標となるゴールを刻めなかった。J1で5ゴールをあげ、得点ランクのトップに並ぶ豊田は短い言葉に無念の思いをにじませた。 「今日は結果を残せなかった、ということです」 昨シーズンに得点ランク2位となる23ゴールをマークし、無名の存在から一気にブレークを果たした川又は自身の武器をこう表現する。 「泥臭いプレーじゃないですか」 昨年8月以降のザックジャパンのワントップは、柿谷曜一朗(セレッソ大阪)と大迫勇也(1860ミュンヘン)が務めてきた。ともにスマートなプレースタイルを身上するだけに、守備を含めて前線を愚直に動き回る豊田、元日本代表のゴン(中山雅史)を彷彿とさせるようにゴールを追い求める川又はそろって異質に映る。 しかし、同じタイプは2人も必要ない。スーパーサブとしてザックジャパンに生き残れるとしたら、どちらか1人。もちろん、ともに涙を飲む可能性もある。意思の疎通を欠くことの多い急造チームで指揮官が求める結果を残した川又は、しかし、まだ1ゴールしかあげられていないアルビレックスにおける現状をしっかりと見つめていた。 「最近点を取っていないので、今日のゴールを勢いにつなげたい。チームに持ち帰ってプラスにしないと」