いま世界中で「ペットボトル飲料」を飲まない医師が続出している「衝撃の理由」
脳卒中と心筋梗塞のリスク大
まずはMPと脳卒中の関連を示した(2)の論文について、イタリアのカンパニア大学の内科医で、著者の一人であるジュゼッペ・パオリッソ氏が説明する。 「頸動脈内の脂肪などが硬化して大きなプラーク(塊)ができると、手術で切除するのが一般的です。この切除片を調べたところ、約60%からMPやNPが発見されました。しかも術後約3年間の経過を観察したところ、MPが含まれていた患者は脳卒中や心筋梗塞のリスクが高かったのです。 一般的にプラークが剥がれて血流に乗り、細い血管を詰まらせると脳卒中や心筋梗塞が起こる。MPやNPは硬くなった動脈にくっつきやすいため、プラークがより大きく、剥がれやすくなるのだと思われます」 5mm以下にまで小さくなったプラスチックの破片をMP、1mmの100万分の1~100分の1程度の大きさのものをNPと呼ぶ。目に見えないサイズのプラスチックの欠片が食品の中に紛れ込み、あるいは空気中に漂いながら、さまざまな経路で人間の体内へと侵入し、重篤な疾患を引き起こしているのだ。
血流に乗って肺や肝臓へ
しかしコロンビア大学が発表した(1)の論文の著者の一人で、同大准教授のベイザン・ヤン氏は、「数あるMPの侵入ルートの中でも、ペットボトル飲料がもっともリスクが高い」と断言する。 「私たちの研究によって、ペットボトル飲料1Lあたりに平均24万個のMPとNPが含まれているとわかりました。同じ量の海水に含まれるのは約1万個と言われるので、衝撃的な数字です。 ペットボトルが熱や紫外線を浴びると、化学反応を起こしてMPやNPが中身に染み出していく。加えてキャップを開け閉めするだけでも、本体とこすれて破片が混入すると考えられます」 「週刊現代」2024年6月22日号より このようにしてMPやNPは、脳卒中や心筋梗塞など死に至る病の原因となりうる。しかしリスクを上昇させるのは、それらの疾患だけではない。続編記事『ペットボトル飲料が脳卒中、がん、肝硬変などのリスクを高める? その「驚きのメカニズム」』では、それ以外のリスクについても紹介していく。
週刊現代(講談社)