ＡＩによる画像分類例。種類別に認識しているのが分かる（加古真一郎鹿児島大教授提供）

　鹿児島大学大学院理工学研究科の加古真一郎教授（海洋物理）らの研究グループは、スマートフォンのアプリと画像解析ＡＩ（人工知能）で、街中のごみの量を種類ごとに、地図上で可視化できるシステムを開発した。効率的な美化活動の立案が期待できるという。６月末、国際学術論文誌に掲載された。 【写真】鹿児島大学の加古真一郎教授

　システムは、拾ったごみの写真を市民が投稿するＳＮＳアプリ「ピリカ」で収集した約２７００個の画像データを活用。ごみの色や形を種類ごとにＡＩに学習させた。現時点では、街ごみ全体の約８割を占める６品目（缶、プラスチック製の袋、ペットボトル、たばこの箱、吸い殻、マスク）が判別でき、今後さらに精度を高めていく。 　海洋プラスチック汚染源の約８割は、街に流出した生活ごみとされる。加古教授は「海岸のごみ拾い活動も大切だが、汚染源の蛇口が開いたままでは根本的な解決にならない」と話す。 　システムを活用することで、街中のどこに、どんなごみが、どの程度あるのか、地図上で可視化できる。効率よく効果的な清掃活動の計画を立てる参考にできるだけでなく、不法投棄の抑止も期待できるという。 　システムを使って定期的な観測を続ければ、自治体などが進める環境保全対策の成果も把握できるとしている。