標高300m「天空の棚田」にほれ込み移住、「自然は厳しい」が景観と集落の暮らしこれからも
移住して10年目。以前よりも高齢化や過疎化が進み、集落が疲弊しているのを痛感している。高齢で亡くなる人もおり、現在、地区に暮らすのは自身も含めて8世帯15人のみだ。
ボランティアや地域の手助けがあるとはいえ、自力で棚田を耕し、管理するには経済的な負担は大きい。「理想を語るだけでは『田舎暮らし』はできない。自然は厳しい。時に現実を突きつけられる」。それでも自分を受け入れてくれたこの場所、人と離れたくないとの思いがある。
同地区の区長、中野末生さん(74)は「田畑はあるが人がいないので、若い人が入ってきてくれるのはありがたい。自分で思いついたことを思いきって行動に移してほしい」と、藤田さんに期待を寄せる。
今年も稲作やソバ作りの体験で人を呼び込み、将来的にはカフェの再開を目指している。「ここで出会い、亡くなった集落の人もいる。そうした人たちに、今の活動を託されたと思っている」と藤田さん。この景観と集落の暮らしをこれからも守っていきたいと願っている。(矢野裕作)