コラノビッチ氏がウォール街最後の弱気派に、ウィルソン氏は見方転換
(ブルームバーグ): ウォール街で米株式市場の先行きに弱気な大物ストラテジストは1人だけとなった。JPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏が20日に米国株への暗い見通しを堅持した一方、モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏が降参した。
コラノビッチ氏は同日遅くの顧客向けリポートで株式購入しないよう勧めた上で、世界の株式市場が高値を更新した過去1年に、同氏の悲観的見通しがJPモルガンのモデルポートフォリオに悪影響を与えたことも認めた。同氏は、悲観的な立場を維持する理由として、高いバリュエーションや、景気抑制的な金利が長期化する可能性、高インフレ、消費者のストレス、地政学的な不確実性などを挙げた。
同氏は「株式に対する悲観的なスタンスは、過去1年間の当行のマルチアセット・ポートフォリオのパフォーマンスを悪化させた」と認めつつ、「現時点では、株式は魅力ある投資対象とは考えておらず、スタンスを変える理由は見当たらない」と付け加えた。
この日、モルガン・スタンレーのウィルソン氏が米国株見通しに前向きな見方を示したことで、コラノビッチ氏はウォール街の主要銀行の株式ストラテジストの中で最後の異端児となった。ウィルソン氏はS&P500種株価指数が2025年6月までに5400に上昇すると予想。従来予想していた12月までの15%下落から大きく見通しを転換した。
JPモルガンはS&P500種の年末目標値をウォール街の大手行で最低の4200としており、これは20日終値から20%以上の下落を意味する。
JPモルガンに次いで低い予想はシティグループの5100で、現水準から小幅な下落を示唆。ゴールドマン・サックス・グループの予想は5200で、現水準から上値はないことを示す。しかし、それぞれ両行のトップ株式ストラテジストであるスコット・クロナート氏、デービッド・コスティン氏はJPモルガンの担当チームのように差し迫った相場急落について警鐘を鳴らしてはいない。