米大統領選が本格化 トランプ再選に「若者の壁」が立ちはだかる?
決して盤石とはいえないトランプ大統領
年齢や政治的立場などを考えて、民主党側の候補者が「いま一つ」という声もあり、「なんとなくトランプ再選」という見方もある。ただ、実際にはトランプ氏の置かれた状況は決して安泰ではない。 確かに支持者固めは万全だ。各種世論調査で共和党支持者のうちの9割近くがトランプ氏を支持しており、岩盤といわれるほどコアの支持層を固めている。トランプ政権発足以来、規制緩和から対中貿易戦争、裁判所の保守判事任命など、支持層に向けての「還元」を目指す政策を強く進めてきた。 ただ、「アンチ」も数多く存在するため、政治的分極化で全体の支持率は40%台と低調だ。民主党支持者の中でトランプ支持はわずか数ポイントしかない。共和党支持者との差は80ポイント以上あり、支持層とアンチ層の差がこれだけはっきり分かれた大統領は、少なくとも定期的な世論調査がスタートしたトルーマン政権(1945~1953年)以降では存在しない。 トランプ氏にとっては「支持層だけしっかり固めれば再選可能」かもしれない。ただ民主党の方も「アンチ・トランプだけ、しっかり固めれば当選可能」ということになる。民主党立候補者について架空の「もし、今日、大統領選挙があり、それぞれの候補がトランプ氏と戦ったら」という世論調査をみると、バイデン、サンダース、ウォーレン、ブティジェッジのいずれも、トランプ氏以上やトランプ氏と並ぶ数字を記録する調査も数多い。もちろん、現時点の世論調査は全くあてにはならないが、民主党のどの候補が党指名を獲得したとしても、そもそもの固定票があるのは明らかだ。 トランプ大統領のウクライナ疑惑をめぐる上院での弾劾裁判は否決となる見込みだ。弾劾についての見方も分極化しており、共和党支持者にとっては「魔女狩り」に他ならない。ただ、民主党支持者にとってトランプ氏は「巨悪」であり、裁判の過程で「トランプたたき」が連日続いたこともあり、これが民主党側を結束させることになるかもしれない(逆に共和党支持者のトランプ氏支持も強まっていくだろう)。 分極化で景気に対する見方も割れている。現在、米国は戦後最長の景気拡大を記録しているが、「民主党の大統領なら、格差是正など、さらに良い形での経済成長がある」というのが民主党支持者の考え方である。もちろん、今後の景気動向も大きく影響はするだろう。