名門企業チームから独立リーグ移籍のなぜ? アマ野球有望選手の意識に変化のワケ
このオフ、NPBスカウトやアマチュア球界関係者の中で、話題に挙がる「移籍劇」がありました。 日立製作所の最速151キロを誇る速球派サウスポーとしてプロ注目の存在だった安里海が、社会人2年目のシーズンを終えた11月下旬、ルートインBCリーグの神奈川フューチャードリームスに電撃移籍。名門企業チームから独立リーグへ戦いの場を移したのです。 沖縄出身で東海大相模高、東海大とアマ野球界のエリート街道を突き進んだ安里。本来なら社会人球界の最高峰・都市対抗野球大会を目指す中でプロにもその実力をアピールして来秋のドラフト指名を待つ、というのが流れなのですが、敢えて退路を断ち、環境としてはハードな独立リーガーへの道を選んだのです。 また、四国アイランドリーグの愛媛マンダリンパイレーツに入団する廣澤優はJFE東日本からの移籍。日大三高時代から剛腕で鳴らし、最速152キロを誇る右腕です。このような移籍が相次ぐ背景を、スポーツ紙のデスクはこう読み解きます。 「確かに安定という面では、名門企業チームの方が上でしょう。しかし『絶対プロに』という選手にとっては、試合数が多く、NPB球団とのマッチアップも多い独立リーグはその分、NPBスカウトの目にとまる機会も増えるわけですから、悪い選択ではありません。NPB出身者の監督やコーチなど、より上の世界を意識した指導が受けられる可能性もあります。社会人選手は支配下での指名に限られることもあり、育成でもいいから、という選手にとっては独立リーグの方が好都合な場合もあるのです」 そして、こう続けるのです。 「今秋のドラフト会議では育成も含めて23名もの独立リーガーがNPBの門をたたきました。阪神2位の椎葉剛(徳島インディゴソックス)、ロッテ2位の大谷輝龍(富山GRNサンダーバーズ)ら上位指名される選手も出てきた。確かに社会人野球のレベルは高いですが、ミッションはあくまで都市対抗出場なので、そのためのパーツに徹することを求められる。打者なら右打ちに送りバント、といった具合です。その分、NPB入り後、即戦力として活躍する選手が多いことも、社会人野球の凄さ。このあたりを踏まえて、『何が何でもプロに行きたいから、独立リーグで勝負してみよう』と考える選手が出てくるのは、決して不思議なことではないのです」 野球人なら誰もが羨む名門企業チームのユニフォームを脱ぐという決断は生半可なものではないはず。彼らが独立リーグの舞台でどのようなパフォーマンスをするのか、ファンの熱視線が注がれることになります。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]