“大物食い”誓った!熱海富士×翠富士 伊勢ヶ濱部屋の“先輩後輩コンビ”、故郷・静岡から94年ぶりの三役目指し
今年の大相撲を大いに賑わせてくれそうなのが、静岡県出身の2人の力士だ。翠富士(27・東前頭二枚目、焼津市出身)と熱海富士(21・西前頭筆頭、熱海市出身)は、ともに伊勢ヶ濱部屋の兄弟弟子で、沼津市にある飛龍高校相撲部出身。14日に初日を迎えた初場所の直前、2人が本誌のインタビューに応じ、2024年の意気込みを語った。 【写真あり】熱海富士×翠富士をもっと見る ――昨年は、2人ともに大活躍でした。 翠富士(以下、翠) いやいや、サク(熱海富士の本名、朔太郎)がすごすぎて。 熱海富士(以下、熱海) そ、そんなことはないと思います。 翠 一応、兄弟子だし、高校の先輩でもあるんで、負けられないなと思ってたんですが、あっさり番付で抜かれてしまいました。 ――一緒に食事に行ったりはしますか? 翠 それがですね、誘ってもあんまり来てくれないんですよ。人気者だからね、サクは。一緒に行く時間ないよね? 熱海 いえ、いつでも待ってますよ(笑)。 ――最初に会ったのはいつ? 翠 もう10年くらい前かな。 熱海 自分が小学6年のときですね。小6から相撲を始めて、飛龍高校で稽古をさせてもらったんです。そのとき、翠関は高校3年生でした。 ――そのときの印象は? 翠 日本語をしゃべれてなかったんですよ。何を聞いても「はっす!」しか言わないんで、海外の人なのかなと(笑)。 熱海 ハハハ。 翠 体は大きかったです。あのときでもう、自分よりデカかったですから。 熱海 体重は100キロくらいありましたからね。でも、相手は高校生ですからみんなデカくて、めちゃめちゃ緊張しました。そのなかで話しかけてもらえたのは、すごく覚えていますね。 ■伊勢ヶ浜部屋には飛龍高出身が5人も ――それにしても、飛龍高校のOBはここ数年、すごい活躍ですね。何か強さの秘密みたいなものは? 翠 う~ん、なんだろう……。めちゃくちゃ自由すぎるところなんじゃないですか。強豪校出身の人の話を聞くと、みんなすごく厳しいんですよね。そういうの全然ないんですよ。 熱海 なんか、弱小相撲部みたいなノリなんです。 翠 相撲部の栗原(大介)監督が言うには、選手の自主性にまかせると。無理やりやらせても強くならない。強くなるコは、どうやったら強くなるか、自分で考えるんだと。だから、本当に自由にやらせてもらえましたよ。 熱海 もともとは、地元の静岡の人がほとんどなんですけど、最近は九州からも相撲部に入ってきたりしてますよ。 翠 やっぱり、熱海富士効果だよね。 ――飛龍高校からプロ入りする人も増えています。伊勢ヶ濱部屋に、また一人入門したそうですね。 熱海 そうなんです。高校3年生が一人。これでうちの部屋は、飛龍高校出身者が5人になりました。 (※飛龍高3年の鈴木塁智が入門。ほかにも幕下の聖富士、三段目の颯富士がいる) ――静岡県出身の幕内力士は、翠富士関が戦後5人め、熱海富士関が6人めだそうです。 翠 三役に上がると、江戸時代以来らしいんですよ(実際には94年ぶり)。 ――番付からいえば、今場所は2人ともチャンスですね。 翠 自分の番付だと、二桁勝てば三役には上がれるとは思うんですけど、上の人もなかなか負けないからなあ。 熱海 三役、なかなか空かないですよね。自分は筆頭ですけど、西なんで、ただ勝ち越しただけじゃ上がれないかも。 ――熱海富士関は2場所連続優勝争いをしてるわけですから、今場所こそ狙うは優勝? 熱海 いや、そんなに甘くないですよ。 翠 初めてだからな、上位と総当たりは。 熱海 勝てる気が……しないんです……。 翠 そこまで力の差があるとも思っていないけど、でもやっぱり強いんだよな、ちょっとだけ。 熱海 はい。結局、自分は上位の人に負けてますからね。