西幕下筆頭の嘉陽が勝ち越して新十両昇進に大きく前進「今日の1番、と思って臨んだ」
<大相撲夏場所>◇9日目◇20日◇東京・両国国技館 西幕下筆頭の嘉陽(24=二所ノ関)が、勝ち越しを決め、来場所の新十両昇進に大きく前進した。西幕下7枚目の吉井を突き落として4勝1敗。もろ手突きの立ち合いから、すぐに引いて呼び込んだが、土俵際で逆転した。花道を引き揚げる際には、出迎えた部屋付きの中村親方(元関脇嘉風)に「よくやった」と声を懸けられ、ガッチリ握手。嘉陽は「勝ち越すことができてうれしい」と、ホッとしたような表情で話した。 十両から陥落する人数など、周囲の星との兼ね合いによるが、新十両昇進の権利は得た。初場所は、勝ち越せば新十両昇進が確実な東幕下筆頭で3勝4敗。先場所は、5勝以上すれば、新十両昇進の可能性が高まる西幕下3枚目で、3連勝から3連敗し、七番相撲で勝ち越すのがやっとだった。さかのぼれば昨年九州場所は、西幕下6枚目で6勝1敗の好成績だった。何度も目前に迫りながら、届かなかった新十両昇進。これまでは、わずかに届かなかった“あと1勝”を「考え過ぎていた」と、勝ちたい思いや、星勘定が強かったという。この日は「今日の1番、と思って臨んだ」と、何勝何敗などは考えず、目の前の相手に集中して、大きな星を手にした。 また今場所前の春巡業で、初めて全20会場に同行し「いろんな関取衆の稽古を見て刺激をもらった」と、成長を実感する経験もした。現時点で、十両からの陥落が確実といえる力士はいない。好成績を挙げても、昇進が見送られる可能性もあるが「これに満足しないで、あと2番、頑張りたい」と、前向きに話した。“人事を尽くして天命を待つ”とばかりに、この日の結果に一喜一憂せず、取組後も終始堂々としていた。