神戸・新開地の名画座 国内でも希少な2本立て映画館 アイデア駆使して集客 支配人は元自衛官
思い出の映画を観られるかもしれない映画館。それが、パルシネマしんこうえん(兵庫県神戸市)です。支配人の小山岳志さんがラジオ番組に出演し、施設の魅力を語りました。 【関連】神戸・新開地の名画座で初の映画祭 パルシネマしんこうえん 1971(昭和46)年に開館したパルシネマしんこうえんは、新開地駅から徒歩5分の場所に位置します。 チャップリンも来日時に訪問するなど、神戸の映画史には欠かせない場所でもある新開地。その地で50年以上にわたって映画を届けているミニシアターは、国内では希少な存在となった2本立てでの上映や、サイレント映画のピアノ伴奏上映なども行っています。 そのパルシネマしんこうえんで、小山さんは3代目の支配人を務めています。 名画座(旧作映画を上映する映画館)として新旧の名作を幅広く上映しており、番組放送時には、『異人たちとの夏』と『グッド・ウィル・ハンティング』を2本立てで上演。それとは別に、朝と夜にも1本ずつ上映しています。 邦画×洋画であったり、まったく異なるジャンルの作品であったりと、2本立て作品の組み合わせはさまざま。テーマに沿って選出するそうですが、時にはお客さんからのリクエストが多いものから選ぶこともあるそうです。 「うちのお客様というか、カラーといいますか……。その方々に『ぜひおすすめしたい』『観ていただけたらうれしいな』という作品を組み合わせたりもします。施設内にリクエストボックスがあるのですが、もともと検討中の作品ではなくてもすごくたくさんのリクエストが入ると、『この作品をみなさんご希望しているんだな』と思って上映が実現することもあります」(小山さん) 常連のなかには、長い人で40年前から通い続けているお客さんもいるそう。「通ってくれている数多くの常連さんのためにも」と、父である先代から支配人を引き継いだといいます。 もともと、海上自衛隊に勤務していた小山さん。映画人口が減りつつあるなかで、まったくの未経験である支配人を継ぐことに不安を感じていたといい、当時の心境についてこのように振り返りました。 「どうなるのかなとは思っていたんですけれども、一気に突然映画の世界がなくなるというわけではないので。こちらの出し方(上映の仕方)次第で、映画館のスタイルをしっかり続けていけるんじゃないかな、とは思っていました」(小山さん) 「運営方法次第で映画館のスタイルを維持していける」という思いから、通常の2本立て上映のほかにもさまざまな手法に挑戦。 朝と夜に別の映画を上映したり、オールナイト上映を行ったり。さらには、同じ新開地にある寄席「神戸新開地・喜楽館」との企画として映画館で落語を行ったりと、これまでにない方法を試してきたそうです。 ほかにも、元自衛官という小山さんならではの経験をいかし、潜水艦や船が登場する映画で専門的な解説を行ったほか、自身の好きな映画『トップガン』を3回観るオールナイト上映を実施するなど、小山さん自身が楽しんで企画を考えていることがうかがえます。 「大事なのは、通常のラインナップに、いままで上映してこなかった作品やちょっとチャレンジ的な作品も入れていくこと。お客様の反応から『こういう作品も観てくださるんだな』となると、またそこから新しい組み合わせもできてきますし、おもしろい。新しいお客様も入ってきてくださるかなと思います」(小山さん) 今後の展望については、このように語りました。 「やっぱり、1年でも長くパルシネマを続けることですね。10年20年、できれば30年とかね。それがもう夢ですね」(小山さん) ※ラジオ関西『Clip木曜日』より
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