金沢で56年ぶり学術総会 来年9月、日本癌学会 5000人参加
●1000以上の研究発表 北國がん基金が講座共催 「がん研究の祭典」と呼ばれ、80年以上の歴史を持つ日本癌(がん)学会の学術総会が来年9月、金沢で56年ぶりに開かれる。国内外の研究者約5千人が集まり最新の知見に理解を深めるほか、石川県内の研究・啓発活動を長年にわたって支える公益財団法人北國がん基金が市民公開講座などを共催する。講座と合わせて同基金の贈呈式と助成対象者の講演会を行う予定で、2人に1人がかかるとされるがんの治療へ関心を高める。 日本癌学会は会員数約1万4千人で、金沢ではこれまで1969年に学術総会が開催された。84回目となる来年は9月25~27日、石川県立音楽堂などを会場に特別講演や市民公開講座、ポスターを含む千以上の研究発表を行う。企業の研究者が参加する創薬に関するシンポジウムや全国の医学部生が参加するセッションが企画される。 北國がん基金は、医学関係者の要望を受け、北國新聞社が紙面キャンペーンを通じて提唱し、1986(昭和61)年に創設した。基金の運用益で、これまでに3億1220万円を助成している。学術総会では市民公開講座に加え、特別企画「学際展開国際シンポジウム」を共催する。 学術総会の会長を務める金大ナノ生命科学研究所・がん進展制御研究所の大島正伸教授は、がん研究の分野で金沢は全国で随一の街だとし、「この街で開催するのが悲願だった。若手の研究者や企業にも参加してもらい、基礎研究にしっかり目を向けた大会にしたい」と意気込んだ。 学会や大会など大規模なコンベンション参加者は、一般の観光客と比べて滞在中の消費額が大きいとされ、経済効果も期待される。