28年9月4車線化完成 東海北陸道 袴腰トンネル 富山県内最長5912㍍
東海北陸自動車道の4車線化工事で、中日本高速道路は15日、富山県内で最長の「袴腰(はかまごし)トンネル」(延長5912メートル)区間を2028年9月にも完成させるスケジュールを明らかにした。同日、南砺市五箇山地区の工事現場を地元住民に初めて公開した。工事では現行のトンネル横の「避難坑」を拡幅して2本目のトンネルを造成し、対面通行を解消する。 【地図】袴腰トンネル ●現場を住民に公開 袴腰トンネルは、福光から白川郷方面に向かう場合、城端トンネル(延長3221メートル)の次のトンネル。城端トンネルの4車線化は27年8月の完成予定で、山間地の急峻な崖地などからトンネルを掘削するため、いずれも4車線化工事の中で難工事区間とされている。 袴腰トンネル南坑口付近で行われた説明会では、中日本高速道路金沢支社高岡工事事務所の社員が山腹に2本目のトンネルを掘る工事の方針を示した。トンネル内の事故発生時に逃げ込む避難坑の周囲を掘り、現行のトンネルと同規模に広げる計画で、事務所側は「安全に配慮し、24時間態勢で掘削する」とした。 現場説明には、山田靖博田下区長や中島慎一菅沼区長ら14人が参加した。越中五箇山菅沼集落保存顕彰会長も務める中島さんは「4車線化工事の内容がよく分かった。この区間の供用も早く実現してほしい」と期待した。 高岡工事事務所によると、トンネル工事の総工費は約252億円。南坑口と北坑口の両方から岩盤を掘削する。南坑口側は庄川に面し、工事用車両が川を渡るため、水面からの高さ最大約40メートルの「仮桟橋」を建設した。 中日本高速道路は県内の4車線化工事で完了した区間から順次供用を進める。 ●みらい館が来館1000人 中日本高速道路は15日、南砺市菅沼の「4車線化みらい館」で来館千人達成を記念する式典を行い、山田区長らに記念品を贈った。みらい館はトンネル工事などを紹介する施設で7月1日に開館した。 ★東海北陸道・袴腰トンネル 南砺市上平地区・田下と城端地区・上田を結ぶ延長5912メートル。現行2車線で対面通行となっている。現トンネルと平行する直径約4メートルの「避難坑」を拡幅し、2車線を増やす工事が行われている。