『ONE DAY』レストラン編で描かれたコント的勘違い劇 今後の鍵を握るのは福本莉子か
父親の墓前を訪ねたところで、アネモネの幹部である安斎(米本学仁)たちに襲撃され捕らえられてしまう誠司(二宮和也)。その頃、誠司に独占インタビューを申し込んだ桔梗(中谷美紀)は、提示された取材条件通り、蜜谷(江口洋介)に連絡を取り、立ち会うように伝える。11月13日に放送された『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)第6話は、“逃亡編”と“地方テレビ局編”にようやく“レストラン編”が絡まりはじめる。その密度の高さを示すように、今回の進行時間は13時26分から14時19分。ついに1時間を割ってきた。 【写真】スマホを握りしめる誠司(二宮和也) いつにも増して複雑かつ小刻みに3つの物語が絡み合っていたので、ここでは順を追って整理していくことにしよう。まずは“逃亡編”。安斎に捕らえられた誠司は廃倉庫のような場所に連れて行かれ、手錠で椅子に拘束される。裏切り者であるという疑いをかけられ、夜に控えた重要な取引の権限を安斎に移すように迫られるのだが、そのために必要なアプリが入ったスマートフォンが開かない。そこで誠司は、橋の上で時生(大沢たかお)とぶつかった際(あれは第4話の終盤だったので、正午前後だったはずだ)にすり替わっていたことに気が付くのである。 同様に、時生もようやくそれに気が付く。蜜谷を尾行していた柚杏(中村アン)が誠司にかけたはずの電話を受ける時生。さらに葵亭には、誠司のスマートフォンに仕込んだGPSを追ってやってきたミズキ(中川大志)が現れ、時生たちは手伝いに来てくれた見習いシェフだと勘違い。タマネギのみじん切りやドレッシングづくりなど仕事を頼むのだが、ミズキのぎこちない手付きに苛立ちを覚えてしまう。これまで他の2編と異なるコミカルな空気を放ってきた“レストラン編”が、どのように“逃亡編”と繋がるのかと気になっていたが、まさかそのコミカルさを維持したまま、しかも勘違い劇というコント的なコメディをやってのけるとは。 そして桔梗を軸とした“地方テレビ局編”は、引き続き“逃亡編”と連動するようなかたちで進行するのだが、今回は局内での対立構造は控えめにし、蜜谷との対面に終始する。仲間を増やした桔梗は国枝(梶原善)を伴って天樹勇太こと誠司と約束した墓地へと向かう。墓地に向かう前に桔梗は、誠司から言われた通り警察に情報を流す。それは蜜谷へアネモネが手出しできないようにさせることともうひとつ、警察の情報がアネモネに内通している可能性をあぶり出すという目的があったという。 案の定、墓地にはアネモネのメンバーがいることが判明するのだが、その指示――蜜谷を消すよう言ってきたのはミズキであった。アネモネのトップであるミズキが警察の誰かと内通しているということだろうか。そんな不穏な空気が流れたところで映しだされていく警察関係者たち。そのなかには葵亭にいる山田(今井英二)も含まれ、あたかも彼がキーパーソンのひとりなのではないかと思わせるような雰囲気が急に立ち込めたのも気になるところ。その流れのなかでは、柚杏(中村アン)が警視庁の関係者であることも判明。かなり色々な情報が溢れかえっており、ここから一気に物語が動きそうな気配だ。 それはそうと、隙を見て葵亭から脱出することに成功したミズキを店の前で見かけ、すぐさま検問を突破した映像に映っていた人物であると確信する査子(福本莉子)。前回も蜜谷が撥ねられた現場の映像に誠司の姿を見つけ、別の監視カメラ映像でしか見たことがないにもかかわらずすぐに天樹勇太であると紐付けていたりと、かなり高い相貌認識力であることが窺える。すでに“レストラン編”と“地方テレビ局編”をつなぐ重要キャラである査子。ミズキの尾行を始めたことで、“逃亡編”にも深く介入することになるのだろうか。
久保田和馬