マダニに刺されると肉が食べられなくなる?! 原因は人間にない「アルファギャル」
一方で、α‐Galは、哺乳類のほとんどが持っている物質です。持っていないのは、人間や一部のサルだけ。マダニにかまれて、α‐Gal抗体を持った人間が、α‐Gal成分を含む牛や豚、羊、さらには、鹿や馬などの肉を食べると「マダニを撃退する」ための免疫反応が出て、その結果、自分の体をやっつけてしまい、じんましんや下痢、腹痛、ひどい場合には、呼吸困難に陥ってしまいます。 ポイントは「哺乳類」というところで、同じタンパク源でも、鶏や魚はα‐Galを持っていないので、基本的にはこのアレルギーにはなりません(ただし、カレイの卵でアレルギーが出ることが知られています)。一方、鮮魚店で扱っているものでも鯨やイルカは哺乳類ですから、α‐Galアレルギーになりうるのです。 ■「マダニにさされたら即、病院」のワケ これまで、茶農家の被害も数多く診察した磐田市立総合病院皮膚科の橋爪秀夫医師は「不調の原因が肉のアレルギーだということは、なかなか患者本人でも気づきにくい」と話します。「一般的な食物アレルギーだと、食事から2時間以内に症状が出るのに、マダニによる肉アレルギーでは2~6時間経ってから。これは肉の脂の吸収が徐々にであるためと考えられています。だから、原因特定にたどりつきにくい(橋爪医師)」のです。例えば、夜に症状が出ても、原因は夕食ではなく、昼食かもしれません。 では、マダニに刺されたらどうすればいいのか。橋爪医師は「マダニを自分でつまんで取ると、α‐Gal成分を、自ら体内に注入してしまう結果になる危険性がある。専用器具で取り除くので、マダニが皮膚についたまま医療機関を受診してほしい」と呼びかけています。(SBSアナウンサー 野路毅彦)
静岡放送