このままでは月が「中国の領土」になってしまう…!いま習近平の宇宙開発「世界初連発」のウラで高まっている「アメリカの懸念」
中国「月面探査」への警戒
中国の内需が著しく低迷し、頼みの綱の外需ではアメリカとの貿易摩擦に悩まされている。窮地に立たされたときほど大国はプライドを誇示しようとするものだ。 【写真】これはヤバすぎる…!中国で「100年に一度の大洪水」のようす 四面楚歌の習主席の面目躍如のカードが宇宙開発だ。 5月3日、中国宇宙開発局は無人月面探査機の「嫦娥6号」を中国南部の海南島から打ち上げて、成功したと発表した。 電波が届かない月の裏側に着陸し、岩石などを採取して地球に戻ってくる「サンプルリターン」を目指しているという。地球に帰還する6月下旬には、その成否が明らかとなるだろう。 中国は2000年代から月面探査に力を入れ始め、近年その技術は上がっている。2019年には世界で始めた月面の裏側への着陸を成功させ、翌年には「サンプルリターン」を成功させた。アメリカ、旧ソビエトにつづいて世界で3番目の実績を築いたのだ。 今回、難易度の高い月の裏側のサンプル採取が成功すれば世界初となる。 宇宙開発局は「全人類に科学的な価値をもたらしたい」と語っているが、宇宙開発は軍が関与しており、他国の警戒感が高まるのは必至だ。 「世界初」を目指す月面探査のチャレンジは、とりわけ中国経済が低迷するこの時期にあって、アメリカと無用な対立を深めてしまうという懸念がある。
厳しさを増す中国経済
まずは、直近の中国の経済状況を確認しておこう。 中国政府が5月11日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、前年比0.3%上昇した。3ヵ月連続のプラスとなり、「内需の改善を示す結果となった」との声が出ている。 だが、「物価上昇は行政サービスの値上げによるものだ」との指摘が出ている。財政難に苦しむ地方政府が水道料金やガス料金を引き上げるとともに、補助金が削減されたことで電気料金が各地で値上りしている。 地方政府の赤字削減のために家計が追加負担を余儀なくされる構図となっており、これにより、中国のデフレ圧力は今後さらに高まる可能性が生じている。 生産者物価指数(PPI)の下落も続いたままだ。 中国の今年第1四半期の鉄道貨物の輸送量は、7年ぶりに前年比マイナスとなっている。鉄鋼不況の悪化を受けて、鉄鉱石や石炭などの輸送需要が落ち込んだのが主な要因だ。4月の新規人民元建て銀行融資は、7300億元(約15兆円)と市場予想(8000億元)を下回っている。3月(3兆900億元)と比べても大幅な減少だ。