県は有識者らによる検討を重ね、今年度から市町村がオンライン立ち会いを導入するための財政支援などを行っている。都市部に比べて人口が少ない地方は鳥取と同様の課題に直面しており、オンライン立ち会いが広がるか注目される。（山本考志）

■投票時間も見直し

投票所での投票時間は原則午前7時から午後8時までだが、高齢化が進む過疎地では人手不足などを考慮し、時間見直しの動きが広がる。開始時刻は最大2時間までの繰り上げか繰り下げ、終了時刻は4時間を限度に繰り上げが可能で、令和3年の前回衆院選では約1万7千カ所（36・5％）が時間を変更した。

奈良県の山間部、下市（しもいち）町は、国政選挙として今回初めて終了時刻を1時間繰り上げて午後7時までとした。同町選挙管理委員会は「期日前投票を行う人が増え、投開票当日も午前中に投票する人が多いことから決めた」としている。

人口減少や高齢化が著しい同県野迫川（のせがわ）村では投票所を統合し、10カ所から4カ所に減らした。同村選管では「高齢化によって投票管理者や立会人のなり手がなく、運営が苦しいという声が出ていた」と明かす。

京都では府内957カ所のうち、郊外や山間部を中心に118カ所で終了時刻を繰り上げる。府北部の京丹後市は投票管理者や立会人の負担軽減などを理由に地元から要望が寄せられたとして、全85カ所のうち39カ所で繰り上げる。

和歌山県選管によると、これまでに県内の投票所の7割以上にあたる599カ所が終了時刻を繰り上げている。午後6時までが318カ所と最も多く、午後7時が218カ所。午後4時や午後5時までとするところもある。同県白浜町では町内35カ所の投票所すべてが午後6時までに終了する。同町選管は「前回衆院選から山間部や過疎での人口減少を踏まえて投票時間を変更した」と説明した。

■投票権保障は非常時への備え

東北大大学院の河村和徳准教授（政治学）の話

効率を優先すれば、過疎化が進む地域の投票所は不要となるが、「一人一票」という政治的平等を守るため、投票環境を整えることが基本だ。しかし高齢化や自治体職員の減少で、これまで通りの投票所運営は難しく、投票権を保障する代替策が重要になる。