「超高齢化ニッポン」はこのままダメになるのか…これから地方を襲う「最悪の未来」
「地方集住」という可能性
しかし、地方移住にも希望はあると河合氏は言う。 現状の移住政策では一極集中を是正できていないが、「地方集住」という形であれば可能性があるのではないか、と。 人が住む地域と住まない地域を明確に分けることができれば、そこには民間事業を残すことができるという。最低10万人の商圏を維持できれば、そのエリアは持続可能と言われている。 番組では秋田県が例として取り上げられた。2015年には約102万人だった人口が2045年には約60万人に減少。60万人ということは10万人の商圏が6つしかない。 そうした状況となる秋田県の生き残り策は「秋田市に全部移住するか」「秋田県を秋田市と名乗るか」だという。 仙台と並ぶ100万都市にするために、多少の痛みを伴ってでも大胆な変化をしていかないとこの先の変化には対応していけない。
ショッピングモールの閉店ラッシュ
人口減少による影響は、生活に欠かせない場所にすでに現れている。 具体的には、「2030年には大型ショッピングモールは維持できなくなる」という事態が起こる。 見込んだお客さんが来ず、場所によっては閉店が始まっており、今年だけで25店が閉店しているという。想定以上に人口減少が進んでいるのだろう。 これから何が起きるのかといえば、既存の商店街が壊滅し、ショッピングモールが閉店し、地方には何も残らない未来の到来だ。 しかし、政治(家)は解決してくれなさそうだ。人口減少は10年単位で取り組まなければいけない問題なのだが、票にならない政策は食いつきが悪いのだという。それでも、今からやれば、正しく対応すれば、豊かな日本は続けられると河合氏は語った。
高品質なものを高付加価値で売る
日本では2042年から本格的な人口減少が始まる。 人口を増加させることは難しいため、人口減少を前提にどうしていくのかを考えなければいけない。人口減少時代において、生産性・成長を維持していく経済モデルを作ることが大事になってくる。 「まだ日本が経済大国でいられるうちに、戦略的に縮める必要があります。これまでの産業を維持していこうと思うと、どこの分野も人材不足になってきて維持できません。日本は各分野に産業があるので、捨てるものは捨てて残すものは徹底してよくしていくべきでしょう」(河合氏) 具体的には、日本より人口が少ないドイツやフランスなどのヨーロッパ型を目指すべきだと河合氏は提言する。例として挙げるのは、自動車会社フォルクスワーゲンのポルシェというブランドだ。 ポルシェの昨年の売り上げは約28万台で約50億ユーロの営業利益があった一方、フォルクスワーゲンの売り上げは約457万台で営業利益は約25億ユーロだった。フォルクスワーゲンがポルシェと同じ利益を生み出すには、900万台近く売らねばならない。 ここから言えることは何か。 生産量も労働者も消費者も激減する日本にとって、「高品質なものを高付加価値で売る」というモデルを築き上げることが急務となるということだ。 つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。
河合 雅司(作家・ジャーナリスト)