計量に失敗し、うなだれるジョナタン・ロドリゲス（撮影・西岡正）

　「ボクシング・ＷＢＯ世界スーパーフライ級タイトルマッチ」（２０日、両国国技館） 　前日計量が１９日、都内で行われ、王者・田中恒成（畑中）の初防衛戦が、挑戦者ジョナタン・ロドリゲス（メキシコ）の体重超過で中止になった。日本ボクシングコミッションの安河内剛事務局長によれば、日本開催の世界タイトルマッチが体重超過で中止になるのは初めて。 【写真】おなかもプヨプヨ　２・９キロの大幅超過 わがままボディの挑戦者 　この日の計量では、スーパーフライ級のリミット５２・１６キロに対し、田中は５２・１キロで一発クリアしたが、ジョナタンは５５・０キロと２・９キロの大幅超過。２階級上のスーパーバンタム級（リミット５５・３４キロ）の体重だ。 　田中が所属する畑中ジムの畑中清詞会長は「結論はキャンセルです」と、憤りを押し殺した口調で試合中止を明かした。 　再計量まで２時間の猶予が与えられたが、畑中氏によれば、ジョナタンはけいれんを起こし、健康管理上、危険と判断したジョナタン陣営から「できない」と申し出があった。田中陣営も「２階級も上の階級、うちもやらせるわけにはいかない。うちの選手をやらせるわけにはいかない。そういった（大幅な体重超過にもかかわらず試合を強行する）例を作っちゃうのも悪いことだと思うしね」と、試合を中止する判断をした。 　畑中氏に電話で中止を伝えられた田中は「２階級あったら…」と答えつつも「それ（再計量リミットの午後３時）まで待ちます。それまで戦闘態勢でいます」と、あきらめていなかったという。 　畑中氏は平静な口調を崩さなかったが、「１週間前に来て３キロもオーバーなんて、われわれには考えられません」、「決まっている以上作り上げるのがプロフェッショナルなので、こういう外国人が増えても困るので」と憤りをにじませた。 　田中も試合１カ月前に４１度の高熱を出して「今回一番苦労しました」（畑中氏）という中でも仕上げて来ただけに、畑中氏は怒りを通り越して「ボクシングをやめた方がいいんじゃないですか？もしくは階級を間違えていませんか？」と苦笑いするしかなかった。