【何歳から高齢者?】70歳引き上げ議論をわかりやすく解説「年金支給を遅らせたいの?」「定年制度は労働者のため?企業のため?」「労働50年時代に必要なこと」
(REINAさん)「私も会社勤めですけど本当に採用が難しくなってきました。外国人が来ないですし、日本人の優秀な人材も海外の外資系とかに行っちゃうので、そういうロスもあるんですよね。かなり深刻だと思います」
年金支給を遅らせたいのも理由?
もう一つよく言われているのが、年金支給を遅らせたいのではないか、ということです。現在、国民年金・厚生年金は基本的には65歳からもらうことができますが、先行きは厳しい状況です。年金を受け取る高齢世代は増えていますし、一方で年金を支払う現役世代は減っているので、若い人たちの負担を増やしてきましたがそれでも足りない状況だとよく言われています。2019年の財政検証では、2050年ごろには支給水準が2割下がる見通しだとされています。
今年度の年金支給額で見てみると、物価と連動しているので、額面としては前年比2.7%上がっていますが、物価変動率は3.2%上昇(今年度の参考指標)で、実質的には減っています。 ただ、支給を減らしてきたので、実は年金財政は以前よりは少し好転していると、経済評論家の加谷珪一さんは話しています。そのため今回の高齢者年齢の議論についても「支給を遅らせるのが大きな狙いではないのではないか」としています。
そこで“本当の狙い”について聞くと、加谷さんは『高齢者の貧困問題』への対応だと答えてくれました。年金の支給額を減らしているということもあって、高齢者層こそ貧困問題が今後深刻化するのではないかということです。
2019年全国家計調査の年代別の相対的貧困率のデータを見ると、割合が最も高いのは75歳~84歳で18.3%です。厚労省の生活保護受給者数のデータでも、65歳以上が増加していて全体の半数以上となっています。 (豊田真由子さん)「社会情勢の変化が大きくて、昔は3世代同居とかでそれぞれが養う仕組みができていたんですけれども、それが単身世帯・核家族になったので、高齢者の方が昔のように子どもや孫と一緒に暮らして世帯を持つことがなくなった。そうするとどうやって暮らしたらいいのという問題なので。何かその制度云々とまたちょっと別に、社会構造の変化が大きな話としてあるんです。本当に高齢者の方も二極化が進んでいて、高齢者の中で豊かな方とそうでない方の問題が深刻になっているのは本当にその通りです。ただ今回の話で言うと、国は、仮に高齢者の定義を変えても、年金の支給開始年齢とかを変えるということはしませんと一応言っているんですけど。ただ大きな流れで見ると、現役世代が高齢者を背負う、あの分子にいる人に分母に回ってもらえば、こういう問題も含めて、まだ働ける人に働いてもらって支えられる側から支える側に回ってもらうのが、ご本人が望めば、いいんじゃないかというのは私は妥当な考え方だと思うので。国が何か悪いことをしているんじゃないかという目じゃなくて、どうやってみんなでこの日本の高齢化とか貧困問題を解決できるかなって考える、いい機会かなと思います」