選挙最中の永田町襲撃 半年前から周到準備か 動機やガソリン入手経路に謎も
臼田容疑者は自民党本部を離れた後、続いて車で首相官邸に現れ、そのまま車両防護柵に突入。車から降り、発煙筒などを投げつけた上、車内で何かを燃やそうとした。警察官が拳銃を構えて制止すると、抵抗することなく投降したという。
現場に残された車内からは、21個ものポリタンクが見つかった。1個は空だったが、16個にガソリン、3個にエタノール、1個に、不凍液などに含まれるエチレングリコールが入っていた。車を炎上させようとした疑いもある。
大量に用意されたガソリンを入手した方法は、まだ特定されていない。ガソリンは消防法で規制され、ポリタンクでの保管はできず、専用の携行缶が必要だ。
公安部が臼田容疑者の自宅を捜索したところ、空のガラス瓶やポリタンクが見つかったが、携行缶はなかった。捜査関係者によると、今年の春ごろからガラス瓶などの購入を始めており、少なくとも半年間にわたって準備を進めていたとみられる。
犯行動機も不明のままだ。臼田容疑者は原発再稼働に反対する抗議活動に加わっていたことや、交流サイト(SNS)で選挙の供託金廃止を訴えていたことはあるが、事件と関連があるかは不透明。逮捕後、一貫して黙秘を続けているといい、警察幹部は「どういう意図だったのか不明な点は多いが、客観的な証拠を積み上げて違法行為を立証していく」と話している。(橋本昌宗)