意思決定に関わる「認知バイアス」は106種類も!注意バイアスに確証バイアス…少しでも「よりよい決断」をしたいあなたが知っておくべきこと
人生には誰しもつらい時期がある。だが、「そんな時でも自分の考え方ならいつでも変えることができる。そして、それこそが成功の第一歩だ」と説くのは、自費出版から異例の全米ベストセラー書籍を生み出した、ダリウス・フォルーさん。ダリウスさんは正しいベクトルで考える「思考術」を紹介するなかで、「人間は非合理的な生き物だ。どんな人にも、自分勝手な思い込みがある」と言っていて――。 【書影】まっすぐ問題の核に向かうための思考術!ダリウス・フォルー『まっすぐ考える 考えた瞬間、最良の答えだけに向かう頭づくり』 * * * * * * * ◆認知バイアス あなたはこれまで、後から考えるとバカな選択をしてしまったと思ったことはあるだろうか? 人間は非合理的な生き物だ。どんな人にも、自分勝手な思い込みがある。 あなたが考える「世界」は完全に主観的であり、自分の中にある「認知バイアス」の影響を色濃く受けている。 1972年、心理学者のエイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンが「認知バイアス」という概念を提唱した。 認知バイアスとは、合理的な判断の妨げになるような過去の経験、直感、思い込みなどをさす。
◆注意バイアス 認知バイアスにはいくつかの種類があるが、私のいちばんのお気に入りは「注意バイアス」だ。 注意バイアスとは、過去の経験や個人的な関心によってある特定の刺激に注意が向きやすくなっている状態で、「思考が現実をつくる」という考え方の科学的な根拠にもなっている。 注意バイアスによると、人間の知覚は思考の影響を受ける。そして当然ながら、人は知覚によってどんな行動を取るか、どんな判断を下すかを決め、その行動や判断が人生を決める。 だから、もしネガティブなことを考えているなら、人生の見方もネガティブになる。これが、注意バイアスの基本的な考え方だ。人間の思考の仕組みは複雑でわかりにくいと思うかもしれないが、実際はこのようにごくシンプルでもある。
◆確証バイアス いちばん有名な認知バイアスの1つ「確証バイアス」についても考えてみよう。私たち人間には「自分の信じたいことを信じる」という傾向があるが、その傾向を説明するのが確証バイアスだ。 何か信じていることがあるなら、それを裏づける情報ばかりを集め、それに反する情報は無視するようになる。言い換えると、自分が間違っていない証拠を必死になって集めるということだ。確証バイアスの状態にある人は、事実ではなく、自分の信念だけを見ている。 この「事実を無視して自分の思い込みだけを信じる」というのは、すべての認知バイアスに共通する姿勢だ。これを書いている時点で、意思決定に関わる認知バイアスは106種類も存在することがわかっている! 私は106種類ほぼすべてについて調べた。認知バイアスについての本や研究論文もいくつか読んでいる。そこから私が出した結論は、「自分の頭は信用できない」というものだ。とはいえもちろん、私の結論も認知バイアスの影響を受けているかもしれない。 いずれにせよ、いちばん大切なのはこういうことだ──何かを決断するときは、思い込み、自明の論理、さらには科学さえも信用してはいけない。 科学者もまた人間だ。それはつまり、科学者にもそれぞれの認知バイアスがあるという意味になる。自分が唱える説を裏づける証拠ばかりを集めることに関しては、科学者は特にプロフェッショナルだ。
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