ジェイク・ダイソンが語る、新型ヘッドホンから「空気清浄機能を省いた」理由
音楽ファンに難聴リスクを知らせる機能
音の心臓部である40mm口径の振動板を搭載するドライバーは、工作機械を最先端のコンピュータ技術によって制御するCNC切削技術を使って、わずか0.6ミリ厚に加工された金属製のハウジングに格納されている。ワイヤレスヘッドホンの駆動に不可欠なバッテリーはヘッドバンドの左右に分けて配置。柔らかなイヤークッションで耳もとに固定するデザインとして、長時間リスニングによって頭部にかかる負担を分散させる。ダイソン氏は自身の出世作でもあるLED照明にも共通する「究極の快適性」を実現するために、長年に渡るエンジニアリングのノウハウをすべてDyson OnTracに注ぎ込んだと胸を張る。 ■音楽ファンに難聴リスクを知らせる機能 ダイソンは若年層の音楽ファンも、オーディオに特化したヘッドホンの主なターゲットユーザーとして見据えている。ダイソン氏によると、Dyson OnTracから空気清浄機能を取り払った理由の1つは「高音質なヘッドホンを可能な限り安い値段で若い音楽ファンに提供したかったから」なのだという。「Zoneで達成した業界最高クラスの消音効果はOnTracに引き継いだ。高性能なノイズキャンセリング・ヘッドホンとして特徴をアピールできるはず」とダイソン氏は期待を込めて語る。 ダイソン氏は、高性能な消音機能を持つヘッドホンを若い音楽ファンに推すことによって、聴覚保護の重要性を示唆したいという考えも述べている。ヘッドホンやイヤホンのようなポータブルオーディオ機器を長時間に渡り、大きな音量で使用することが難聴リスクを高めることはいま世代を越える音楽・オーディオファンの課題として指摘されている。 Dyson OnTracの本体設定などに使うモバイルアプリ「MyDyson」には、ヘッドホンに内蔵する8つのマイクでリアルタイムに変化する環境騒音を測定して、騒音の音量とヘッドホンよる消音効果の変化をグラフにして可視化するユニークな機能がある。グラフに表示されるグレーのボーダーラインはWHOの定義に基づいてダイソン設定した、耳の健康を守りながら音楽リスニングを楽しめる音量の「推奨上限」であり、ユーザーが設定する音量がこれを越えるとアラートを表示する。