永住外国人の生活保護で最高裁が初判断 どんな判決だったのか
難民条約との整合性はどうつける?
第3に、外国人について生活保護法に基づく受給権を否定したことから、難民条約との関係をどのように整合させるかという問題があります。 難民条約23条は「締約国は、合法的にその領域内に滞在する難民に対し、公的扶助及び公的援助に関し、自国民に与える待遇と同一の待遇を与える」と規定しています。難民条約で求められる「同一の待遇」は、その待遇を実現するための不服申立てをも認めるものでなければ、同一とはいえず行政の恣意を許容することとなってしまいます。 それを解消するためには、(1)裁判所が通知に基づく行政措置について訴訟による解決を認めること、(2)立法によって一定の範囲の外国人について保護受給権を認めることのいずれかが実現されなければなりません。 最高裁は、生活保護法の条文の「国民」という文言に従ってシンプルに判示したのですが、永住外国人の生活保護をめぐる状況はむしろ混迷を極めているというべきではないかと思います。 (森川清/弁護士、首都圏生活保護支援法律家ネットワーク事務局長)