ステージ2の乳がん罹患の麻倉未稀さん、乳房再建した歌手ならではの“理由”とがん発見の“経緯”
麻倉さんは乳がんになったときに、ネットで検索をしても情報が少ないことに驚いた。7年前に比べると今は情報が得やすくなっているが、不安を軽減するためにも、病院以外でがんについて話せる場所が必要とされている。
治療を続けるためにも生活の保障があることは大切
「私は手術の前後で、がん患者や家族を受け入れる『マギーズ東京』で話を聞いてもらって心が落ち着きました。地元の藤沢にもそんな場所をつくりたいと思ったのです」 そこで'20年に発足したのがNPO法人「あいおぷらす」だ。乳がんに限らず、がん患者や家族が集える機会をつくり、さまざまな活動を行っている。 「ピアサポーター、がん専門看護師、ケア専門看護師といったスペシャリストと話ができる場ですが、活動資金は寄付で賄っています。活動を継続していくためにも寄付してくださる企業さんにお願いをしているところです」 術後3週間でステージに復帰し、その後も精力的に音楽活動を続けてきた麻倉さん。今は抗がん剤や放射線治療をしながら仕事を続ける人も多い。 「治療がつらくて会社を辞めたいと思う人もいますが、治療を続けるためにも生活の保障があることは大切です。働くがん患者をサポートする企業側の体制が整っていくことを願っています」 取材・文/紀和 静 あさくら・みき 1960年生まれ、大阪府出身。'81年、CMソング『ミスティ・トワイライト』でデビュー。'80年代の大ヒットテレビドラマ『スクール・ウォーズ』『スチュワーデス物語』の主題歌『HERO』『What a feeling~FLASH DANCE』で強烈な印象を残す。ポップスにとどまらずJAZZ、ゴスペル、ラテン、クラシックに至るまで幅広く歌いこなし、ミュージカルや旅番組ではリポーターとしても活躍。2018年に地元の藤沢で「ピンクリボンふじさわ」を立ち上げ、乳がん検診の啓発活動も行っている。