中山美穂さん、15歳の目力に思わず後ずさり とにかくまっすぐに生きた人/こんな人
<こんな人> 歌手で俳優の中山美穂さんが6日、東京都内の自宅で亡くなっていたところを発見された。54歳だった。 【写真】日刊スポーツ史上に最も美しい1枚の中山美穂さん この日は大阪市内でクリスマスコンサート2公演が予定されていたが、待ち合わせ場所に来なかったため、所属事務所関係者らが自宅を訪問。浴室で動かなくなった中山さんを見つけ、死亡が確認された。警視庁が詳しい状況を調べているが、事件性は低いとみられ、病死の可能性があるという。昭和を代表するアイドルの突然の死に、列島に衝撃が走った。 ◇ ◇ ◇ 中山さんとは映画初出演となった「ビー・バップ・ハイスクール」と、その続編の撮影現場で何度か取材する機会があった。 最初の囲み取材の時、現場の雰囲気について聞くと、キッとにらまれて答えてもらえなかったことを覚えている。当時15歳。視線をそらさない大きな瞳には迫力があって、思わず後ずさりした。そんなアイドルは初めてだった。抽象的な質問をぬるく感じられたのだと思い、次回から「具体的」を心がけると、意外に素直な答えが返ってきた。 関係者との「器用な付き合い」は苦手だったようで、後年も記者会見場の裏側で空気をヒリつかせているところを目撃したことがある。一方で、仕事への取り組みはまっすぐだった。 「ビー・バップ」では、主演コンビの仲村トオル、清水宏次朗より1年後輩という設定だったが、実際は5、6歳下。それでも、しっかり者のマドンナに成りきって、不良の2人を従えるような雰囲気が漂った。 何年も後になって「あの頃は等身大で演じてくださいと言われても、どうやっていいか分からなかったし、1度役に入り込んじゃうとなかなか抜けられませんでした」と明かした。 女優として飛躍するきっかけとなったのは「Love Letter」だ。「自分なりに興味を持てる作品に出会い、面白がってていねいに取り組めばいいんだと思えました」と、自分のペースをつかんだ。この映画を撮った岩井俊二監督や、結婚もした作家の辻仁成氏など、浮世離れした「天才肌」と言われる人たちと不思議と気が合った。 強すぎる目力は時に誤解も生んだと思うが、とにかくまっすぐに生きた人だった。【相原斎】