勇ましく海水かけ合う姿に歓声 松江・美保関で諸手船神事
国譲り神話にちなむ「諸手船(もろたぶね)神事」が3日、松江市美保関町美保関の美保神社や近くの美保関漁港で営まれた。氏子が乗り込んだ2隻の船が、海上で互いの船に櫂(かい)で勇ましく海水をかけ合い、訪れた観光客や写真愛好家らが熱心にシャッターを切っていた。 天照大神(あまてらすおおみかみ)に出雲国を譲るよう迫られた大国主命(おおくにぬしのみこと)が、美保関で釣りをしていた長男の事代主命(ことしろぬしのみこと)に諸手船で使者を送り、国譲りの判断を仰いだ神話に基づく神事。海水をかけ合うのは、使者の船が着岸した際に、大きな水しぶきが上がった様子に由来する。 美保神社でくじによって選ばれた氏子18人が、烏帽子(えぼし)と白い衣を身にまとい、9人ずつ二手に分かれて諸手船に乗り込み、対岸にある大国主命を祭る客人(まろうど)社にこぎ出した。「ヤアヤア」と声を上げながら2隻が岸に戻ってくると、お互いの船に向かいこぎ手が勢いよく海水をかけ合い、勇ましい姿に観衆から歓声が上がった。 松江市の国際交流員で中国杭州市出身の彭程璐さん(31)は、海外への情報発信のために諸手船神事を見学。「神話を分かりやすく解説できれば、海外の人も気に入ってくれる」と話した。
日本海新聞