渋谷に集結した秋田犬

「かわいすぎる！」「モフモフ～！！」 その日、渋谷市役所近くから約１㎞にわたって行われた秋田犬のパレードに、街ゆく人々は思わず足をとめ、思わず感嘆の声をあげた。 「もふもふ…」菅前総理の心を掴んだ、愛くるしすぎる白い秋田犬！ 12月２日、渋谷のランドマークである「忠犬ハチ公」の生誕100周年に際して、全国から約40頭の秋田犬が渋谷に集結。記念パレードが行われた。都心で行われた大行進を一目見ようと、全国各地から秋田犬フリーク達が集まった。 イベントを主催した大館市の「秋田犬保存会」によれば、全国の秋田犬が一堂に会してパレードするのは今回が初めてだという。一般来場者も800人程度が集まるなど、賑わいをみせた。 イベントには秋田県出身である、自民党の菅義偉前総理（74）もサプライズで開会式に参加した。 「世界での秋田犬の登録件数は右肩上がりに伸び、人気は世界中に広がっている。私達秋田県人にとって大きな誇りで、日本にとっても極めて大事なことだ」 挨拶の途中に犬たちが吠えだすアクシデントもあったが、菅前総理は「怖いです（笑）。でも可愛いですね」とおどけてみせ、来場者や秋田犬と一緒に写真撮影に応じる一幕もあった。 秋田犬の写真を撮っていた60代女性は、「これだけ個体差があって、様々な表情を見せて、しかも人懐っこい犬種は珍しい。秋田犬は普段接することがなかなかできないので、実際に見て、触れ合えたことでその魅力を再認識できました」と白い歯を見せた。 海外からの参加者も目についた。イベントに合わせてチェコから来日したというジャナ・ガソヴァさん（26）は興奮気味にこう話した。 「ヨーロッパでも秋田犬は非常に人気があり、私もブリーダーをやっていますが、これだけ多くの秋田犬を日本の中心地で見られる機会は貴重。本当にこのイベントに参加するためだけに渋谷まで来ました（笑）。とにかく美しく、愛らしい犬たちが街を散歩する姿に感動しました」 国内犬としては唯一の天然記念物に指定されている秋田犬。近年は、過剰な人気とブリーダーの高齢化で、頭数は減少傾向にあるという。 殺処分ゼロを目指す同会は、啓発活動にも注力していく。「秋田犬保存会」会長である遠藤敬衆議院議員（55）は「ハチ公は秋田犬の象徴的存在です。そのゆかりの地で、秋田犬の素晴らしさ、世界に認められる素晴らしさを、多くの方に知って頂きたかった。想像以上の人出に恵まれ、秋田犬のパワーを感じる一日となりました。これだけ世界中で愛される秋田犬を後世に残していくための活動を続けていきます」と述べた。 渋谷の街にとっても、まさに歴史に残る“ワン”シーンとなった。