「オープンに構えてカットに打つ 」バンカーショットはもう古い!? 今は「スクエアスタンスでドローイメージ」が世界基準【目澤秀憲・スウィング3.0 #20】
松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「バンカーの打ち方」について考えた。
D とある動画サイトで、ローリー・マキロイとスコッティ・シェフラーが、バンカーは「ドローのイメージで打つ」ということを話していました。これは、日本のゴルファーでとくに50代以上の人は、少し驚く内容じゃないかと思います。 目澤 確かに、昔は上からカットに打つように教わった人が多いかもしれません。 D いわゆる「我孫子流」(我孫子GCに源流を持つ青木功、海老原清治といったプロゴルファー、あるいは彼らの技術の総称)の場合、フェースもスタンスもオープンで、軌道はカット、ヘッドは上からドンッと入れて終わりというのが基本形でした。ゴルフ番組のレッスンコーナーで、林由郎プロ(青木、海老原の師匠)がそう教えていたのを覚えています。ただ、我孫子流の技術というのは、我孫子GCのバンカーが深くてグリーンが小さかったために育まれたという側面もありますね。 目澤 マキロイやシェフラーの「ドローイメージ」だと、入射角はかなりシャローになるので、上から打ち込まないと球が上がらないと思い込んでいる人には、かなり抵抗があると思います。 D カットだろうがドローだろうが、結局はダイナミックロフトによって球の高さは決まりますね。 目澤 そういうことです。たとえば、56度のウェッジで5度くらいシャフトを寝かせて(ハンドファーストで)打つとダイナミックロフトは51度ですので、それでも十分に球は上がります。 D よほどあごが高くなければ、とくにフェースを開く必要もないですね。 目澤 そうですね。ただ、フェースを開くとバウンスが出る(より使いやすくなる)効果もありますから、砂がたくさん入っているフカフカのバンカーなんかでは開いたほうがいいと思います。日本のコースは砂があまり入っていなくて、下が硬いバンカーが意外と多いですから、そういう場合はむしろバウンスが邪魔になるので、開かないほうがいいかもしれません。 D バンカーが苦手な人は、ソール幅が広いウェッジを選びがちですが、それがむしろマイナスに働く場合もあると。 目澤 本来であれば、普段よく行くコースのバンカーがどういうタイプなのかによって、選ぶべきウェッジのロフトやバウンスは変わってくると思います。 D なるほど。それと、アマチュアが上から打ち込みすぎてしまうのは、そのほうがスピンがかかると信じているからですよね。 目澤 スピンに関してはアプローチと同じで、スピンロフトが関係してきます。 D スピンロフトは、単純に言うとダイナミックロフトと入射角を足したものですね。 目澤 そうです。先ほどのダイナミックロフト51度の例だと、10度ダウンブローに打つとスピンロフトが61度になって十分にスピンがかかります。でも、ダイナミックロフトを55度にすれば(ハンドファーストの度合いをゆるめれば)、6度のダウンブローでもスピンロフトは同じ61度になりますので、上から打てばスピンがかかるというのは間違いだというのがわかります。 ※週刊ゴルフダイジェスト2024年6月18日号「みんなのスウィング3.0Vol20」より
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