ドラマ「沈黙の艦隊」出演の上戸彩さん「言葉にすることをあきらめない」
様々な役柄と真摯に向き合い、常に第一線で活躍し続ける上戸さん。話題作で芯の強いキャスターを演じた彼女の女優としての信念と、大切にしてきたこととは? 上戸彩さんインタビュー フォトギャラリー
言葉にして“伝えること”だけは怠けず、サボらず、貫いてきた
■信念を持つのは素敵だけど信念を持たないのもまた素敵 昨年、公開された映画『沈黙の艦隊』。日米政府が極秘に建造した原子力潜水艦を乗っ取り、独立戦闘国家「やまと」の設立を世界に宣言した海江田(大沢たかお)。その白熱した戦いや手に汗握る交渉劇が大きな話題を呼んだが、その映画が今度はドラマに。劇場版に未公開シーンを加え壮大な世界観と引き込まれるストーリーに早くも注目が集まっている。 「私が演じる市谷裕美はメディアの規制と戦いながら真実を伝えようとするニュースキャスターなんです。そんな彼女をはじめ、今作の登場人物たちはおのおのが揺るがない信念や正義感を持っていて、それが物語を大きく動かしていくのですが……。私自身には市谷のように貫き通したい思いのようなものは特にないんです。“上戸彩さんの信念は何ですか?”と聞かれたらきっと“ありません”と即答してしまうんじゃないかな(笑)」 よくいえば「柔軟性がある」、悪くいえば「こだわりがない」。自身の歩みを振り返り「今も昔もフラッフラしている気がします」と笑う上戸さん。 「今でも覚えているのが10代の頃、同世代の女優さん数人とした対談。その中には“私は映画しかやりません”とキッパリ断言する子がいたりして。いつだって、いただいたお仕事にこたえることだけで精一杯だった自分には、その姿がとても衝撃的だったんですよね」 もともと女優になりたかったわけではなく、好奇心だけで飛び込んでしまった芸能界。明確な目的やビジョンも持てないまま、次から次へと押し寄せる目の前の仕事と必死に向き合い続けた、上戸さんの10代から20代前半。 「自分はあれをやりたい、こうしたい、こうありたい、あの頃はそんな思いを抱いたところでかなわないことがほとんどで……。だから、私は信念を持たないのかもしれませんね。ときにそれが自分を苦しめることも知っているから」