「忙しすぎる30・40代女性」に向け…大人気シナモロールの再構築、サンリオ初の試みが安田顕とのタッグで注目
■順風満帆なキャラクター、だが嗜好の多様化で「ファンシーすぎて抵抗がある」との声
シナモンの愛称で親しまれるシナモロールと言えば、『サンリオキャラクター大賞』で4連覇中の押しも押されもせぬ大人気キャラクターだ。ところが、『~ゆるドキ☆クッキング』に出演中のシナモンは、同じようでどこか違う。デザインはシナモン本来のファンシーさはグッと抑えめで、洗練されたグラフィカルな佇まいが目を引く。 そもそもシナモンには、「ある日、空からふわふわ飛んできたところを、カフェ・シナモンのお姉さんと出会って看板犬として活躍している」というストーリーがある。しかし番組で活躍しているのは、「とある都市に降り立ち、いろいろあったのちに自立したシナモン」なのだという。そうした従来とは異なるパラレルワールドを生きるシナモンを描くのが、昨年スタートした新ブランド「I.CINNAMOROLL」(アイシナモロール)だ。 既存キャラクターを別の世界線で展開させるのは面白い取り組みではあるが、順風満帆なシナモロールであえてそうした挑戦をする必要はあったのか? という疑問も残る。 「たしかに、シナモロールはデビューから20年を超えて幅広い世代に愛していただけるキャラクターに育ちましたが、30~40代女性にはややファンが少ないという課題もありました。というのも、その世代が幼かった頃はまだシナモンは誕生していなかったんです。また、万人受けするシナモンの可愛らしさも、特に嗜好が多様化したその世代にとっては『ファンシーすぎて抵抗がある』『自分ではグッズを持ちにくい』という意見もありました」 ■家庭、仕事、子育て…、「誰かのために」忙しすぎる30・40代女性を新たなターゲットに 新ブランド立ち上げにあたって据えたターゲット層は、“シナモン空白世代”の30~40代女性。主婦や働く女性、お母さん層だ。デザインの調整もさることながら、その世代のインサイト調査も重ねた。 「一番多く聞かれたのは、『忙しい』という声でした。家庭のこと、仕事のこと、子どものこと、親のこと…自分はさておき、誰かのために日々を目まぐるしく過ごされている方がこの世代にはとても多いんです。その世代に届けるために「I.CINNAMOROLL」のシナモンには、人の目よりも自分自身の心と体を大切にする、自分自身が自分を一番好きだと思える、そんな“ご自愛マインド”を体現してもらおうと考えました」 従来のシナモンの特技は、長い耳でふわふわと空を飛ぶこと。しかし「I.CINNAMOROLL」のシナモンは、朝は目覚まし時計で起き、自分の足で歩き、電車に乗って目的地まで行くといった地に足をつけたキャラクターだ。YouTubeで公開中のミニアニメでは、そんなシナモンの特別ではない日常を大切に過ごす様子が描かれている。 「自立したシナモンですので、元の小さな男の子設定から、少年くらいの年齢感に変更しました。少年らしく、安田さんにちょっぴり生意気な口を利いたりもしますが、自分や他人を傷つけるようなことは絶対に言いません。そこは従来と変わらないところですね。I.CINNAMOROLLのシナモンは知らない街をお散歩するのが趣味なので、いつかスタジオを飛び出して安田さんと街ブラできたらいいな、なんていう野望もあります」