中小企業のM&A支援機関、企業の利益損ねる不適切支援も/中小企業庁が実態調査、苦情相談窓口を運用
中小企業のM&A(合併や買収)が急増する近年、M&A支援機関のサービス品質にばらつきが生じ、企業の利益を損なう不適切な支援やトラブルが発生しています。後継者難による事業承継などで中小企業M&Aは今後も多く推移することから、中小企業庁は支援機関の登録制度や苦情相談窓口を設け、実態調査も進めています。 【動画】M&Aを超えるポテンシャル「第2創業」とは
◆不慣れな中小企業に十分な説明ないことも
中小企業を巡るM&Aは、経営者の高齢化による後継者難や、新型コロナウイルス禍による経営難などによりニーズの高い状況が続いています。 M&A支援機関も増えているとみられますが、参入に特別な資格は不要なため、レベルの低い業者が参入している可能性があります。 中小企業庁によると、M&Aに不慣れな中小企業に十分なレクチャーをしないケースや、企業の利益相反につながる不適切な対応が発生しているといいます。 当初条件より高額な手数料の支払いを求められたり、企業価値の評価方法に関する説明がなかったりするケースなどもあるといいます。 このため、中小企業庁は2020年に中小M&A支援のガイドラインを作成。2021年にM&A支援機関の登録制度を開始し、専門の苦情相談窓口も設置しました。 また、M&A支援機関の支援体制やガイドライン遵守状況の調査、M&A支援機関に関する不適切事例の実態調査も進めています。 M&Aを考える企業や支援機関に対しては、中小企業庁ホームページで公開するガイドラインなどで注意を促しています。