超音速旅客機の時代がやってくる。実験機「XB-1」初飛行に成功
先週、民間の航空機メーカーBoom Supersonic(ブーム・スーパーソニック)社は、技術実証機「XB-1」の初飛行に成功しました。 【全画像をみる】超音速旅客機の時代がやってくる。実験機「XB-1」初飛行に成功 まだ音速の壁を破ってはいないものの、この実証機は同社が将来的に就航させたいと考えている燃費の良い超音速旅客機の土台となることから、注目されています。
世界初の超音速航空機ゆかりの地で初飛行
機体に炭素繊維複合材を使ったXB-1は、従来のジェットエンジンを搭載し、コックピット内には拡張現実型ヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)を備えています。そんな同機は先週金曜、カリフォルニア州モハーヴェ空港・宇宙港から空へと飛び立ちました。 歴史上有名なBell(ベル)社の「X-1」(1947年にチャック・イェーガーが音の壁を破った時の航空機)が、初めて超音速飛行を行なった場所は、空港から道路を少し進んだところにあるロジャース乾湖の上空なんだそう。 全長19mの実証機は高度約7120フィート(2,170m)と最高速度238ノット(439km)を記録して、テスト目標を達成しました。 以下はBoom社のXB-1初飛行の様子をまとめた動画。せっかちさんは1分10秒ごろからどうぞ。 「コンコルドの環境にやさしい後継モデルを20年以上も待っていましたが、XB-1の初飛行はそんな私の夢の実現に向けたとても画期的な出来事です」とBoom社のプレスリリースにコメントを寄せたのは、ブリティッシュ・エアウェイズでかつてコンコルドのチーフパイロットを務めていたMike Bannisterさん。 「2003年にコンコルドを最後に操縦した時、この日が来るとわかっていました。超音速技術実証機XB-1の初飛行は、持続可能な超音速機を現実にするための重大な成果です」と語っていました。
問題点を抱えていたコンコルド
ニューヨークからロンドンを3時間弱で飛べるコンコルドの問題点は、経済的な持続可能性にありました。航空博物館によると超音速旅客機のコストは、113名が亡くなった2000年の墜落事故のずっと前から上がり続けていたそう。 他にも、耳を覆いたくなるようなソニックブームのため、超音速飛行は海上でしか行なえなかったという点も。この航空機の騒音に対して各都市から苦情が出て、現在の民間航空機はすべて亜音速機となっています。