『インサイド・ヘッド2』3分のシーンに3年の月日? ヒット作を生むピクサー流“制作の極意”
8月1日より公開中のディズニー&ピクサー最新作『インサイド・ヘッド2』の制作エピソードを監督のケルシー・マンとリード・エディターのマウリッサ・ホルヴィッツが明かした。 【写真】『インサイド・ヘッド2』場面カット(複数あり) 本作は、頭の中の感情たちを描き、第88回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した『インサイド・ヘッド』の続編。『アナと雪の女王2』を追い越し、アニメーション映画史上世界No.1の世界興行収入を突破するだけでなく、映画全体の世界興行収入ランキングでもトップ10入りするなど歴史的快挙を達成している。その裏には、『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』など数々のヒット作を生み出してきたピクサーのアニメーション制作に対する信条が深く関わっているようだ。 本作の舞台は、すべての人間の中に広がる“感情たち”の世界。高校入学という人生の転機を迎えた頑張り屋さんの主人公ライリーの中で鳴り響いた“思春期警報”をきっかけに、ライリーを子どもの頃から見守って来たヨロコビやカナシミたちの前に、新たな“大人の感情”シンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシが現れたところから物語が始まる。“思春期警報”が鳴り響く中、新たな司令部が作られる冒頭シーンは、ライリーの波乱の物語を予感させる印象的なシーンになっているが、このたった3分間のシーンを制作するのに細部までこだわり、3年もの月日を費やしたそう。 1コマ1コマ映像を編集して映画を最初から最後まで作り上げていくリード・エディターのホルヴィッツは、「最初の編集をしたのは2021年5月で、このシーンにはほぼ3年がかかっています。その間に、レイアウトに出される前のものも含めておよそ4,000のストーリーボードが描かれました。最終的にアニメーションまで到達したストーリーボードは、わずか408個、つまり実際に使われるのは10%ちょっとしかないということです。しかし、すべてのストーリーボードは、リライトやシーンの見直しなど制作する上で不可欠でした」と、努力と時間を惜しまない制作の裏側を語っている。 『モンスターズ・ユニバーシティ』など様々な作品に携わり、本作ではピート・ドクターCCO直々に監督に抜擢されたケルシー・マンも、「ピクサーでは『もうこれは完璧、触らなくていい』という言葉が聞かれることはないですね(笑)。常に作品を向上させようとする、それがピクサーのやり方です。そんな情熱あふれる375人のクルーが4年間、この映画には関わってくれました」と、自信を覗かせている。
リアルサウンド編集部