UAEのアル・アインは強いのか? 警戒すべき左サイドこそ狙い目。シンプルなカウンターでヤン・マテウスのドリブルから好機を掴みたい【ACL】
中盤の支配では横浜にやや分があるか
攻守のオーガナイズを司るのが、韓国代表MFパク・ヨンウ。アジアカップでは痛恨のパスミスからヨルダンにゴールを奪われて、ベスト4敗退の批判にあったが、中盤からの組み立てとバランスワークで、目立たないながらアル・アインの“心臓”として機能。準決勝の第2レグでは、自陣の守備で奮闘しながら時にカウンターの起点にもなっていた。 センターバックは、コートジボワール出身の大型DFクアメ・オートンが人に強く、UAE代表のDFハリド・アル・ハシェミが統率力とカバーリングに優れるタイプだ。 彼らが横浜のエースであるアンデルソン・ロペスを簡単にフリーにすることはないはずだが、二列目から植中朝日などがうまく絡んでいければ、マンツーマンに近い形になり、ロペスが一瞬の動き出しでフリーになりやすくなるはずだ。 アル・アインもしっかりとボールを回せるチームではあるが、中盤の支配権に関しては横浜にやや分があると見ている。ただ、アル・アインはここまでACLの戦いにおいて、システムも固定せずに戦ってきている。アル・ヒラルとの準決勝がそうであったように、決勝でも対横浜、さらに言えばアウェーとホームでシステムや選手の配置を変えてくる可能性も否定できない。 おそらく横浜での第1レグは0-0でも御の字というスタンスで来るかもしれないが、どんな形であろうと、ラヒミとロメロは常にゴールのチャンスをうかがっているので、ボールを握れている時間帯でも、一発の裏返しを警戒しながら、得意のハイラインでの戦いに持ち込みたい。 第2レグがアウェーというレギュレーションは不利になりやすい向きもあり、念願のファイナルということで、アル・アインのサポーターも熱狂的な応援で、チームを後押ししてくるはずだ。もっとも、横浜にとって有難いのは、オアシスに位置するアル・アインのピッチが比較的、良好なことだ。 横浜としては自分たちの強みを忘れることなく、しかし、準決勝の蔚山現代戦で見せた粘り強さをミックスして、アジア王者の座を掴み取ってもらいたい。 文●河治良幸