【ライブレポート】まるで宝物のようなツアー完走、The Novembersが示した確固たる姿
The Novembersのワンマンツアー「"The Novembers" Release Tour 2024」のファイナル公演が9月19日に東京・LIQUIDROOMにて開催された。 【ライブ写真】鮮やかな光に包まれるThe Novembers ■ LIQUIDROOMでかたちあるもの、ぼくらをたばねて 昨年は最新アルバム「The Novembers」発表前にツアーを行い、ひと足先にライブにて新曲を披露したThe Novembers。「“The Novembers” Release Tour 2024」は同アルバムの発売を記念したツアーで、5月から9月にかけて全国8会場で行われた。 オードリー・ヘプバーン「Moon River」やヴァンゲリス「One More Kiss, Dear」、ガブリエル・ヤレド「C'est le vent, Betty」などさまざまな映画音楽がBGMとして使用される中、近年おなじみの入場SEとなったジーン・ケリー「Singin' In the Rain」が流れるとメンバーが登場。前回のツアーではアルバム「The Novembers」のオープニング曲でもある「BOY」で勢いよくスタートを切った彼らだが、今回はバラードチューン「かたちあるもの、ぼくらをたばねて」で穏やかに幕を開けた。 「かたちあるもの、ぼくらをたばねて」「ゆるぎないもの、ぼくらを流れてる」と小林祐介(Vo, G)の語りかけるような歌声が優しく響き渡ったのち、「Hallelujah」ではハイスケールな音像で厳かなムードを演出。さらに開放感あふれるシンセポップ調の「Morning Sun」と続くことで、The Novembersの“陽”の要素がありありと提示された。 ■ 並々ならぬ緊張感、もはや暴走寸前の轟音 ここまでの流れでフロアは和やかな雰囲気で満たされていたが、その空気を断ち切るように、高松浩史(B)がソリッドかつ重厚なフレーズを黙々と弾く。そこから吉木諒祐(Dr)のパワフルなドラミングが重なることで「1000年」の演奏がスタート。ケンゴマツモト(G)が頭を高速で振り回しながら禍々しいギターサウンドを炸裂させると、それに応えるように小林は悲鳴にも似たシャウトを重ねていく。さらにSuicide「Ghost Rider」をよりダークに編曲したカバーを挟むことで、並々ならぬ緊張感が生み出していった。 どこか妖しげなイントロから少しずつ幻想的なアレンジが展開される「November」、シンセを彷彿とさせる鮮やかな音色が特徴的な「Everything」と、The Novembersは中盤に進むにつれ、楽曲ごとに異なる表情を見せていく。そこからロマンチックなムード満載の「Seaside」、吉木による強烈なドラミングとケンゴが奏でるミニマルなフレーズが重なり合う「James Dean」と、多岐にわたるサウンドアプローチを存分に発揮。「黒い虹」ではもはや暴走寸前とも言える轟音がほとばしり、会場中を鈍く震わせた。 ■ The Novembers流「KANEDA」再び、あのコールで異様な熱気に 高松が中心となって制作したという「Cashmere」では、エキゾチックな趣きを感じさせる複雑なベースラインが奏でられる。続く「楽園」ではケンゴによる弓でのギタープレイ、吉木によるシンプルな四つ打ち、小林の呪文を唱えるような歌唱がプリミティブな様相を呈していき、そのまま映画「AKIRA」の劇中曲「KANEDA」のカバーへと突入。この曲を象徴する「ラッセッラ」コールがオーディエンスにも伝染していくことで、フロアは異様な熱気に包まれていった。 高まり切った観客たちのテンションをさらに放出させるように、The Novembersはダンサブルな「New York」をプレイ。ギターを置いた小林はステージ中を赴くままに歩き、軽やかなダンスで観客たちを鼓舞した。そして彼らは「BOY」「Xeno」とハードなナンバーのつるべ打ちで、本編終盤を一気に駆け抜けてみせた。 ■ 「このステージに戻って来れました」宝物のようなツアーを経て“いい未来”へ 2020年にアルバム「At The Beginning」を発表してからの3年半、バンドの存在について自問し続けていたというThe Novembers。小林は当時を振り返りつつ、「自分たちを確固たるものにすることができた、宝物みたいなツアーでした」と心境を告げる。そして「ほんのちょっとしたことで自分を見失ってしまうけど、家族や仲間、僕を鼓舞してくれた先人たちがいたおかげで、このステージに戻って来れました」「これからもずっとステージに居続けられるよう、バンドで力を合わせて、いい未来を目指していきます。ここで待ち合わせできるよう、また元気に会いましょう」と歩み続けることを誓った。 そんな小林たちの姿勢を端的に示す「抱き合うように」ののち、最後の演奏曲に選ばれたのは「いこうよ」。「愛なき世界を 爆音で震わせる」と高らかに歌われるこのナンバーで、The Novembersはオーディエンスを力強く鼓舞し、万来の拍手を受けながらツアーにピリオドを打った。 The Novembersは11月から12月にかけてライブツアー「TOUR - UЯA - The Novembers」を実施。チケットぴあでは9月23日23:59までチケットの先行予約を受け付けている。 ■ セットリスト □ The Novembers「"The Novembers" Release Tour 2024」2024年9月19日 LIQUIDROOM 01. かたちあるもの、ぼくらをたばねて 02. Hallelujah 03. Morning Sun 04. 1000年 05. Ghost Rider 06. November 07. Everything 08. Seaside 09. James Dean 10. GAME 11. 誰も知らない 12. 黒い虹 13. Cashmere 14. 楽園~KANEDA 15. New York 16. BOY 17. Xeno <アンコール> 18. 抱き合うように 19. いこうよ ■ The Novembers「TOUR - UЯA - The Novembers」 2024年11月26日(火)東京都 新代田FEVER 2024年12月17日(火)愛知県 CLUB UPSET 2024年12月18日(水)大阪府 Shangri-La