【日本株週間展望】上値重い、日米中銀イベントを控え政策動向に注目
(ブルームバーグ): 6月第2週(10-14日)の日本株は上値が重い展開が続きそうだ。日米で中央銀行の政策会合が開催され、金融政策の先行きや金利動向に投資家の関心が集まる。
米国では12日に連邦公開市場委員会(FOMC)が政策金利や金利見通し(ドットチャート)を発表し、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見を行う予定だ。FOMCでは政策金利の据え置きが見込まれており、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では年内約2回の利下げを織り込んでいる。
米金融政策の先行きをみる上で重要な物価指標も12日に公表される。5月の米消費者物価指数(CPI)は変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアベースで前月比0.3%上昇と、前月と同じ伸びが予想されている。CPIは4月に上昇率が半年ぶりに鈍化し、年内利下げを補強するデータとなった。米生産者物価指数(PPI)は13日に発表の予定。
第1週の東証株価指数(TOPIX)は週間で0.6%安と反落。米経済指標によって利下げ観測が強まり、ドル・円が一時1ドル=155円を割れて円高に振れ、投資家心理を冷やした。
国内でも日本銀行が金融政策決定会合を開催し、14日に結果を公表する。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査では、追加利上げは見送られるとの予想が大勢だった。国債買い入れの減額を決めるともみられている。日銀は早ければ来週に国債買い入れの減額について具体的な方針を示すことを検討する公算が大きい。
そのほか主要な経済指標では、1-3月の国内総生産(GDP)改定値(10日)や中国CPIとPPI(5月分、12日)が発表される。ミーム株ブームの象徴で、足元で乱高下を繰り返すゲームストップの決算は11日に公表の予定だ。
《市場関係者の見方》
第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミスト
日本株は小動きとなり、日経平均株価は3万9000円を大きく上抜けることはなさそうだ。米長期金利は4.2%台まで水準を切り下げており、一段の低下にはハードルが高い。FOMCはややタカ派なイベントとなる可能性があり、相場の重しとなるだろう。国内の金利上昇は予想インフレ率の上昇が主導する形であれば株式市場には中立だが、引き締めが要因となればネガティブな影響となりそうだ。