今や〝ポスト森保〟の最有力!? FC町田ゼルビアの黒田 剛監督はここがスゴい!
■もしも日本代表の監督になったら 町田の躍進を受け、いまネット上では「もしも黒田監督が日本代表の監督になったら......」という声も出始めている。そんな意見に「面白い」と反応するのは、22年まで町田でプレーし、現在は解説者として活躍する元北朝鮮代表FW鄭 大世氏だ。 「町田は昨季も今季も約20人の新加入選手を迎えるなど、選手を多く入れ替えていますよね。それって本来、強豪クラブがやることじゃない。 なぜかといえば、普通、選手を入れ替えただけではチームは強くなりませんから。だから、僕も多くのサッカーファンの方と一緒で、昨季はどこかで失速するだろうなと思って見ていました(笑)。 ただ、夏場以降も勢いは衰えずにJ2で優勝。そして、今季こそJ1の洗礼を受けるかなと思ったら、3節で鹿島を完全に無力化して(1-0で勝利)、僕も評価を一変しました。 ロングボールを多用する、一見古典的なサッカーのにおいがしますが、一方で強度が高く、効率的で現代風の要素もあって温故知新というか。逆にこれが最先端のサッカーになりえるかもしれないという気にさえさせられますよね」 22年12月に、親会社の大手IT企業サイバーエージェント社長の藤田 晋氏がクラブの社長兼CEOに就任して以降、多くの新加入選手を迎えているとはいえ、ほかのJ1上位クラブと比較すれば町田の選手の小粒感は否めない。 「昌子のような実績のある選手もいますけど、今、日本代表に招集されている選手はGK谷以外はいないですからね。選手のコスパは最強ですよ」(鄭氏) チームコンセプトを徹底しながらも、昨季はJ2清水で結果を出せていなかった韓国人長身FWオ・セフンがチームトップの6得点を挙げ(16節終了時点)、五輪代表のMF平河 悠、FW藤尾翔太が台頭するなど、黒田監督の指導の下、魅力的な個も育っている。 「高校サッカーの指導者がプロで成功するとは誰もが思っていなかったのに成功したんですから、何があるかはわからない。 もちろん、町田のサッカーはこれまで日本サッカーが目指していたものとは対極にあり、もし就任となれば〝ちゃぶ台返し〟で、それを日本サッカー協会がやる勇気があるかどうかってことはありますけど......。 ただ、日本人選手は真面目で、監督の指示どおりにハードワークできる選手も多い。例えば黒田監督ならボランチに遠藤航と佐野海舟、サイドには三笘 薫と伊東純也を置いて、1トップには背の高いポスト役のできる若い選手を抜擢するかもしれない。ちょっと見てみたい気はしますよね(笑)」(鄭氏) 賛否はあるものの、そのスタイルには合理性も再現性もある。どこまで結果を出し続けるのか、今後も黒田監督率いる町田の戦いぶりから目を離せない。 取材・文/栗原正夫 写真/共同通信社 アフロ