昔より夏日は本当に増えたのか?気象データから学ぶ東大生的「数字の見方」の要諦 ぼんやりとした物事の「理由」を明確にする
数学を使って世の中の仕組みを知ることで、物事を見る視野が広がります。現役東大生の永田耕作さんが数学の魅力について解説する連載『東大式「新・教養としての数学」』。今回は「身近な数字の見方」について解説します。 ■今年の4月も暑い日が多かった! 全国的に暑い日が続いています。気象庁によると、今年4月に東京で夏日を観測したのは8回で、統計を開始してから最多の日数となっています。 近年地球の温暖化が進んでいるのは多くの人にとって周知の事実であり、それを強調するように「夏日が増えた」「気温が高い日が続いている」「観測史上最速の真夏日」など、暑い日にフォーカスする報道が増えています。
気象庁のデータを見てみると、東京の夏日(最高気温が25度以上の日)の日数は1904~1913年平均で83.6日、2004~2013年平均で119.3日ですから、100年前と比べて大きく増加していることがわかります。 ここでは夏日だけでなく、「冬日」の日数も見てみましょう。 夏日や冬日という言葉は、気象庁がデータの整理や報道のために使用している言葉であり、以下のように定義されています。 夏日:最高気温が25度以上の日
真夏日:最高気温が30度以上の日 猛暑日:最高気温が35度以上の日 冬日:最低気温が0度未満の日 真冬日:最高気温が0度未満の日 夏日や真夏日などが「最高気温」を基準としているのに対し、冬日は「最低気温」を基準にしているところに特徴があります。冬場に重要なのは日中の気温よりも、「朝晩何度まで冷え込むか」だと考える人が多いことが背景にあるでしょう。 また、これは細かな点ですが、「以上」はその数を含み、「未満」はその数を含まないため、最高気温が25.0度の日は夏日になりますが、最低気温が0度の日は冬日にはなりません。
あらためて冬日の日数を見てみると、1904~1913年平均で62.8日、2004~2013年平均で3.1日ですから、100年前と比べて激減しており、2004年、2007年、2009年は0日でした。 ■東京では最低気温が氷点下になるのが珍しくなった これをもう少し分析してみましょう。冬日の日数は1904~1913年平均で約60日。夏の時期は冬日になる可能性がほとんどないと考えると、冬日になりうるのは東京であれば12~2月、遅くとも3月頭くらいまでだと考えられます。